スパイクの進化は、プレートに現れる。
不変の設計理論
クロノインクスがめざしたのは「速ければ速いほど安定するスパイク」。その象徴が、プレートの中足部に設けた「支え台」。本来つま先から接地すると踵の方に重心が行き、ブレーキロスにつながっていた。それを支え台が受け止めて踵の落ち込みをなくし、前へ進む力に変える。また、前足部3本、中足部4本の独自のピン配列は、接地から蹴り出しまでスムーズな重心移動を促す。初代でたどり着いたプレート設計理論は、現在も脈々と受け継がれている。
着用選手
大森 盛一
400m
柿沼 和恵
400m
田端 健児
400m
スケルトン誕生
現在でもクロノインクスの顔になっている「スケルトンアッパー」は、20年以上前にすでに完成していた。開発のヒントは、古代ギリシャで使われていたワラジ。アッパー部分の絶妙なポジションに穴を空け、テープやベルトで足を締めることで優れたフィット感と軽量化を実現。素足感覚の履き心地は当時から高く評価され、今なお多くのスプリンターを魅了し続けている。
着用選手
信岡 沙希重
200m
獣のごとく
「チーターのように走りたい」。当時のトップスプリンターの要望で開発したモデルは、足が宙に浮いている瞬間の空気抵抗に着目。アッパー全面を覆った「カバー」スパイクでそのロスの軽減に成功した。プレートは支え台を進化させた2本のシャンクに加え、軽量化を図るためプレートをギリギリまで削ぎ落とした結果、ピン周囲のモコモコとした形状から「肉球」という愛称で親しまれた。
着用選手
成迫 健児
400mH
点から面へ
走行時にもっとも大きな力が加わるのは足の中心部。そこで中央にピンをトライアングル状に配置することで、地面からの力をこの面全体で受け止めてより大きな反発を得ることが可能に。さらにプレートに無数の穴を空けたハニカム構造により、強度を保ちながらより軽量化も実現した。
着用選手
小池 崇之
400mH
石塚 祐輔
400m
安孫子 充裕
200m/400m
岡部 奈緒
100m/200m
和田 麻紀
100m/200m
てこの力
クロノインクスの基本形となるピン配列から、いちばん最初に接地する中足部外側にさらに1本を追加。このピンによって踏み込んだ際にあえてひっかかりをつくり、てこの原理のように積極的に足を前に倒れこませることでスムーズな体重移動を実現する。2016年国際大会の4×100mリレーでは飯塚翔太選手がこのプレートを使って銀メダルを獲得した。
着用選手
市川 華菜
100m/200m
飯塚 翔太
100m/200m
松下 祐樹
400mH
渡邊 和也
400m
野澤 啓佑
400mH
兒玉 芽生
100m/200m
竹内 真弥
110mH