「ACROSPEEDシリーズ開発」に関する特集記事が ソフトテニスマガジン8月号(6月27日発売)に掲載!

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勝負は0.01秒で決まる。
相手の時間を奪え!

高速化するラリーに挑戦

近年はラケットの進化に伴い、かつてとは違うプレースタイルが生まれ、選手側にも変化が要求されてきた。特に顕著なのはラリーの高速化だろう。そんな状況を前提にミズノが考えたのは、ラケットでどうしたら試合を優位に運べるか、選手をどのようにサポートできるかだった。そこで着目したのは、いかに相手が対応できないような速球で体勢を崩せるか。相手が簡単に対処できないように、少しでも時間を奪おうと考えたのだ。

では、相手の時間を奪うような速球は、どうすれば生み出せるか。開発段階では原点に戻った。ボールがラケットに当たった時にラケットはどのように動き、エネルギーを生み出すのか…。結果明確になったのは、フェース断面の外側部分が、ボールが当たった瞬間に大きく変形して、復元する動きがあるということ。それはまるでトランポリンのように、大きくたわんで復元する、その時のエネルギーでボールを飛ばすことができるのではないか。仮説検証した結果、より速いボールが打てるようになるのが分かった。

そこで開発されたのが「エナジーフレーム」(特許出願中)という新機能だ。具体的にはシャフトとのつなぎ目以降のフェース断面形状(表1)が従来はひし形や楕円に近い形だったが、打球面外側に尖った部分が来ている三角形に近い形にし、かつ側面厚を広げている。

ACROSPEEDシリーズ開発ACROSPEEDシリーズ開発

※ミズノ調べ ※当社従来品比較 ※環境や条件により効果や感じ方には個人差があります。

ACROSPEEDシリーズ開発

インパクト時にフェース断面外側が大きくたわみ復元するフレーム断面形状。断面がたわみ復元するエネルギーによって自社従来品に比べ反発性が向上。同じ条件下の場合、ボール約2.9個分速いスピードボールを実現。

ACROSPEEDシリーズ開発

※ミズノ調べ ※当社従来品比較 ※環境や条件により効果や感じ方には個人差があります。

(表1)

これまでも反発性能は追求されてきたが、今回はエナジーフレームによって従来機種(F SPEED)に比べて、前衛用、後衛用で反発性がそれぞれ約2.7%、約2.1%アップしている(表1)。コート上に置き換えると、同じスイングで、同じような弾道で打った時に、いかに速くコートに到達するかをシミュレーションした結果、エナジーフレーム使用時はボール約2.9個分速く相手コートに到達するのが分かった(表1)。では2.9個分とはどのぐらいの違いなのだろうか。一般的に7秒で1ラリーが終わると言われているが、コンマ1秒の中で、ボールがどこに飛んでいくかを判断して、それに合わせて動いて、構えて、打つ。このわずかな差が差し込まれる、追いつけない、よい体勢で打てないとなるので、今回のエナジーフレームは大きな成果を上げる機能になっているはずだ。

さらに着目したのがストリングの長さだ。ストリングが長い方が柔らかくて、飛ぶというのは一般的だが、そこに着目したのがスピードアークヘッドという機能。長年ミズノが培ってきたフェースの内側に溝をつける設計なのだが、内溝があることで、打球面サイズの90インチは同じでも、内溝によってへこんだ分ストリングをより長くすることができる。そのため、前衛で92インチ、後衛で91インチ相当になる。結果、前衛は相手との距離が近いプレーでの安定した飛びを、後衛は飛びとドライブを両立することができる。つまり今回の新機能、エナジーフレーム、スピードアークヘッドによって飛びをコントロールできれば、結果として相手の時間を奪うことが可能になる。


ミズノのラケットへのこだわりとは

進化、変化を続けるスポーツ界において、ミズノのモノ作りは、選手たちの上達思考や勝つために追求したプレーをサポートすることを重要視してきた。では、そのモノ作りに関して、今回のラケットを例に挙げよう。

❶ラケットのどこで打ったか、
フィードバックが手に伝わる設計

ラケットのどこに当たり、それがどういう結果を生んだのか。ユーザーのフィーリングの要素が大きく、実体をつかむのは難しいが、あえて重要視している。ラケット競技は打つボールの高速化が顕著だが、同時に相手コートに入れなければならない。だから、打ったボールの感覚とそれがどのように(相手コートに)落ちたかという2つの感覚がつながっているのが重要だと考える。その感覚があることで、今回はズレたところに当たったから、次はこうしようとなる。つまり、「こうだから、こうなんだ」を認識できるかどうかは成長への大きな分岐点になるかもしれない。これは初心者であっても、スキルレベルを上げる材料になるだろう。どの選手にも重要な感覚で、それをしっかり感じ取れるようなラケット作りを追求しているのだ。

❷主要全機種で軽量Xサイズを展開

F SPEEDシリーズから全機種の軽量化を実現している。その15gは強みになると考えるからだ。軽量化は、すべてのユーザーに配慮している。

例えば、張り上げラケットからステップアップする初心者にとって、約40g重くなるのは大きなハードルになってしまう。そんな時、軽量サイズがあればハードルを取り除くことができる。また、中上級者にとっても、重さを変えずにラケットのステップアップができるのはメリットで、ラリーの高速化、プレースタイルの多様化に対応するための操作性をアップできる。トップ選手にも軽量化の流れは広がっており、軽さのデメリットより操作性のメリットを感じられていることがうかがえる。

今回エナジーフレームの設計によりフレームがたわんでくれるのだが、それにより、ただ弾くだけでなく、一瞬ボールを持ってくれるような感覚(球持ち)が生まれている。過去のジストシリーズから続く、一瞬ラケットに乗ってくれて、素早く飛ばしてくれるのが「ミズノの弾き」の特徴で、この弾きとスピードが合わさることでユーザーの勝利や上達を支えてくれるはずである。