シリーズの歴史を守りつつ、 「さらに上をめざす」シューズに

2004年の発売以来、「軽量性」「クッション性」「フィッティング」の
3点を特長とする「WAVE LIGHTNING」シリーズの最新作
「WAVE LIGHTNING Z8(ウエーブ ライトニング ゼットエイト)」と、
「安定性」と「クッション性」を重視した「WAVE MOMENTUM」シリーズの最新作
「WAVE MOMENTUM 3(ウエーブ モーメンタム スリー)」。
各特長の詳細や開発したシューズへの思いなどについて、企画担当の竹村悠に話を聞きました。

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選手ニーズに応える主力最新モデル

「WAVE LIGHTNING Z8」のコンセプトを教えてください。

全世代、全ポジションの選手たちから、常に要望として上がっていたのがクッション性や軽量性です。「WAVE LIGHTNING Z8」は、そうした声に高いレベルで応えるべく「軽量性×クッション性×フィッティング」を進化させたシューズです。

そうした要望に応える新機能や前作から進化したポイントを教えてください。

ポイントは3点あります。 まず1点目が「ダイナ・アイレット・ラップ」です。中足部の靴紐を通す穴をテープにすることで、程よく足を包みこむ構造になっています。加えてハトメ部に切り込みを入れることで、足の形状に沿うように締められてフィット感が向上します。
2点目がソールかかと部の巻き上げ構造です。ソールをかかと上部まで広げることで、ジャンプの踏み込み動作をサポートします。これはバレーボールのジャンプ動作研究をもとに設計されたものです。
3点目は「MIZUNO ENERZY NXT(ミズノエナジーネクスト)」の搭載です。ジャンプ時に負荷がかかる前足部に搭載しており、より高いクッション性とジャンプ力につながる高い反発性を実現しています。加えて、前作「WAVE LIGHTNING Z7」より0.5mm厚いインナーソールを採用することで柔らかい履き心地を実現しています。

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次に「WAVE MOMENTUM 3」のコンセプトを教えてください。

「WAVE MOMENTUM 3」は、「WAVE LIGHTNING Z8」に比べて、よりクッション性と安定性にフォーカスしたシューズです。特筆すべきはクッション性の向上で、初代に比べて前足部で約134%※1、かかと部では約113%※2もクッション性が向上しています。

※1、※2 「WAVE MOMENTUM」との比較。ミッドソール材料を鉛直方向に圧縮した際の材料硬度、反発力に基づく。

高度なクッション性と安定性を実現したポイントを教えてください。

クッション性については、ジャンプ時に負荷がかかる前足部に、より柔らかくてより反発性の高い「MIZUNO ENERZY CORE(ミズノエナジーコア)」を内蔵しています。さらにインソールにはミズノエナジーインソールを採用し、足当たりを柔らかくしています。
安定性については、もともと幅広だった中足部をさらに内外に張り出すことで接地面積をより広くするとともに、サイド部分にソールの外側まで大きく張り出したサイドウォールを設置しました。これにより高い安定性を実現し、ジャンプの踏み込みや着地時の足のブレを防ぎます。さらに足首部分にブーティー構造を用いることで、足を包みこんでフィットさせる構造になっています。

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開発の方向性を「決断するだけ」が、実は最も難しい

「WAVE LIGHTNING Z8」や「WAVE MOMENTUM 3」を開発する上で、何を重視していましたか。

ユーザーの要望やフィードバックを最も大切にしていました。どちらのシリーズも長い歴史があるので、まったく新しいものを提案するよりも、アップデートするイメージを持ちながら開発していました。要望やフィードバックは、トッププロの選手はもちろんのこと、メインターゲットでもある中学生から大学生までの学生層を中心にヒアリングを重ねました。

どちらのモデルもさまざまな視点から新機能搭載やアップデートを行われていますが、それぞれ最も重視した点はどこでしょうか。

「WAVE LIGHTNING Z8」で最も重視したテーマはクッション性です。ただ、クッション性を上げるためにミッドソールを厚くしたり、ミズノエナジーを搭載したりすると、それだけ重量が重くなります。そこでアウトソールのラバー部分を薄くして軽量化し、ミズノエナジーによる重量アップを少し相殺しています。さらに耐久性、生産技術なども考慮し、シューズ全体のバランスを見ながら最適な状態になるよう調整を重ねました。
「WAVE MOMENTUM 3」は安定性ですね。ただ、「安定性」は測定して数値化しづらい。数値化しづらい安定性を高めるためにどこをどう設計変更するかが難しいのですが、さまざまな選手にサンプルを履いてもらった時の足の動き方を力学的な視点から研究・分析するバイオメカニクスの手法を用いて探りました。このあたりはミズノの研究開発部門がさまざまなスポーツのものづくりを通して得た知見が生かされています。

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今回の2つのシューズ開発で最も大変だった点を教えてください。

このシューズだけではなく企画担当として最も大変なのは、やはり最初の方向性を決めることです。チームでさまざまな議論を重ね、最後にチームの開発方向性を決めるのが企画担当の役割。特に最初の方向性の決断は、あとで極端に変えたり後戻りはできません。例えば、今回の「WAVE MOMENTUM 3」でクッション性と安定性にフォーカスする判断も、議論して根拠を集めて最後は決めるだけなのですがそこが一番難しかったですね。

「WAVE LIGHTNING Z8」と「WAVE MOMENTUM 3」に対する思いを聞かせてください。

パリでも多くの選手が、新しいシューズを履いて活躍してくれたら嬉しいですね。また、そうした選手たちの活躍を見た学生や一般のプレーヤーの皆さんが、実際に今回アップデートされたポイントを他のシューズと履き比べた上で選んでくれたらさらに嬉しいです。

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写真:バレーボールシューズ 企画担当 竹村 悠