「好き」を糧に、速くて尊敬される スイマーをめざす

2022年は、女子200m自由形で日本選手権4連覇やジャパンオープンで優勝、女子100m背泳ぎでもジャパンオープンで優勝するなど、自由形と背泳ぎの2種目で活躍する白井璃緒選手。世界のトップ選手たちと渡り合う白井選手に、競泳の「CRAZY LOVE」な話をうかがいました。

心が揺さぶられ、人生初のガッツポーズが出た

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競泳の魅力はなんでしょうか?

2歳ぐらいから水の中にいたらしいので記憶は定かじゃないんですが、その頃から水の中にいることが好きだったみたいです。今は水中の泡の音とか水の流れ、重力を感じない独特の感覚が好きですね。競技という面では0.01秒の勝負、本当に指先の差であってもタイムで勝ち負けが明確になるスポーツが競泳です。私は、そこが一番好きかな。

自由形と背泳ぎの2種目に取り組まれていますが、それぞれの魅力はなんでしょうか。

昔は背泳ぎだけだったのですが、実は自由形の方が好きだったんです。やっぱり「競泳の中で一番速い種目で一番になりたい」っていう気持ちがありました。すると自由形のタイムが伸びていって。好きだから伸びやすかったというか…でも最近は背泳ぎも好きですよ(笑)。私の中では自由形と背泳ぎってひっくり返って泳ぐだけ、みたいな単純な感じで、全然深く考えてないというのが本当かな(笑)。ただ、背泳ぎは昔から泳いでいるから「背泳ぎのプライド」も持っています。

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競技に向き合う中で、想像を絶する辛さや厳しさを感じると思います。それでも競技を継続する原動力は何ですか?

これはもう「好きだから」ですね。それが軸にあって、そこから「速くなりたい」とか「このぐらいのタイムを出したい」とか、1本レースを泳ぐごとにいろいろな感情が湧いてくるんですよ。そして、それを実現するために「次はこうしよう、ああしよう」といった気持ちが出てきます。

競技人生の中で、最も心が揺さぶられた瞬間を教えてください。

結構前ですけど、高校2年生の時のインターハイ。ちょうど2016年で、同級生がみんなリオに行っちゃって私ひとり取り残された気分で悔しくて。「絶対に良いタイム出す!」って闘争心が燃えていました。結果も優勝で、そこから自分自身がちょっと変われた良いレースになりました。泳いでいるシーンはもちろん、ゴールした瞬間に人生で初めてガッツポーズしたのをはっきりと覚えています(笑)

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リスペクトされる「強い人」になる

人々がスポーツに魅了されるのはなぜだと思いますか?

スポーツって努力が結果に出やすいものだと思います。競泳なら、練習をサボればタイムは遅くなるし、努力を積み重ねればタイムは速くなる。そこは本当に明確なんですよね。報われない努力もあるかもしれませんが、それはめちゃくちゃ高いレベルの話。あと、結果として見えるタイムから、その背後にあるもの、例えば生活や練習、食事、性格、ここまでのプロセス、人生を知りたくなりますよね。記録の背後にあるものが大きいから魅了されるのかもしれません。

競泳への愛が感じられるエピソードがあればぜひ教えてください。

実は海ってちょっと怖いです、プールは全然大丈夫ですけど(笑)。あと、塩素の臭いとかプールの水の柔らかさや硬さ、肌にあたった感覚とかで、どこのプールかだいたいわかるかな。たぶん目隠ししてもわかるから『利きプール』ができるかもしれない(笑)

これからも白井選手にとって競泳が「CRAZY LOVE」な存在であり続けるためにどうしていきたいですか。

誰に言われたか忘れましたが、「速い人じゃなくて、強い人になれ」と言われたことがあって。速いのもすごいんですが、「『速い人』には練習すれば誰でもなれる。速い上に人として尊敬されないと『強い人』にはなれない」と。確かに、速いけど性格悪い人は応援したくないですよね。私も「強い人」をめざします。