奥原選手キービジュアル

2016年のリオでは日本人初のシングルスでメダル獲得、2017年には日本人初の世界選手権女子シングルス優勝、2019年には女子シングルスの世界ランク1位にランキングされるなど、世界のトップ選手として活躍を続ける女子バドミントンの奥原希望選手(太陽ホールディングス)。そんな奥原選手に、バドミントンの「CRAZY LOVE」な話をうかがいました。

ファンの皆さんの「思いの強さ」が、私の力になる

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バドミントンの魅力はなんでしょうか?

競技する側の魅力としては、やっぱりシャトルを交えた駆け引きですね。コートの中でどう動き、どう打ち込んで、どう返していくか、1点を取るための選択肢は無限です。駆け引きひとつで試合の流れはもちろん、勝敗も変わります。時には、私自身ですら思いもよらない新たな可能性が引き出されることだってあるんです。そんな競技性がバドミントン最大の魅力だと思っています。

強い選手と戦うほどに駆け引きも複雑になり、自分の可能性もどんどん広がっていくと。

そうですね。あと、バドミントンにも「今の時代はこんなプレースタイルが強い」といった「トレンド」があって、それが時代ごとに変化するんですよ。その変化に選手自身がついていけないと長年勝ち続けることがとても難しい。トップ選手でも、現状維持では勝ち続けられないのがバドミントンの面白いところですね。

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競技に向き合う中で、想像を絶する辛さや厳しさを感じると思います。それでも競技を継続する原動力は何ですか?

最大の原動力は、周囲の方々の支えだったり、ファンの皆さんの応援です。でも、大事なのは数ではなくて、一人一人の思いの強さ。コロナ禍でそれを強く実感しました。自分のことを心から応援してくれるファンの皆さんの存在が、本当に大きな力になります。おかげさまでそんな強い思いを持って応援してくれるファンも増えて、それが前に進む力になっています。

競技人生の中で、最も心が揺さぶられた瞬間を教えてください。

2020年の東京大会の開催が危ぶまれ、結果的に開催が1年延期になりました。私は1年延期を「進化するためのボーナスタイム」とプラスに捉えましたが、一方で「コロナ禍なのにアスリートという仕事をしている自分の存在価値とは?」を考えさせられたのも事実です。でもそんな時、所属する太陽ホールディングスの皆さんがオンラインで壮行会を開いてくださったんです。そこで、社員の皆さんがさまざまな企画を練って応援メッセージやムービーを作ってくださって。それを見た時に「私は堂々と勝利をめざして競技に取り組んで良いんだ」と、心を揺さぶられるというか、力強く背中を押してもらえました。

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あえて自分を貫く姿勢をバドミントンで表現する

人々がスポーツに魅了されるのはなぜだと思いますか?

スポーツはヒューマンドラマであり、ノンフィクションであって、そこには嘘や偽りがまったくない。良いことがあれば悪いこともあるし、でもそれを全部ひっくるめて共感できるんですよね。だから自分の夢を託して戦ってくれているように感じ、選手と一緒に一喜一憂しながら自分も戦っている気持ちになれる。その思いが結集したのが応援で、そこにはプラスのエネルギーが生まれます。きっとこれがスポーツにしかない力だと思います。

バドミントンへの愛が感じられるエピソードがあればぜひ教えてください。

基本的にバドミントンって、最初の一歩目がどっちの足から出ても、最後の一歩で必ず利き足が前に出るんですよ。その結果、普段の歩き出しや階段を上る時、最初の一歩目は私の利き足である右足が前に出ます。一度、毎回右足からだとあまり良くないかも…って気にしたことがあって、意識して左足から動いてみたこともあるけど無理でした。もう右足から出すのが習性になっちゃってる(笑)

これからも奥原選手にとってバドミントンが「CRAZY LOVE」な存在であり続けるためにどうしていきたいですか。

自分を見つめ直す節目はあるでしょうが、ここまで来たら変えなくてもいいんじゃないかなって思って。もちろんプレースタイルや、世界と戦う上での戦術は変えていくのですが、根本にある自分の考え方だったり競技に対する思いの部分は、このまま自分っていうものを貫き通そうかな、と。それをバドミントンで表現しながら、さらに自分自身を確立していきたいですね。