非日常の世界を体現する トランポリンのルールと魅力

トランポリンと聞くと、子どものあそび場などにある、ピョンピョンと跳ねて遊ぶ器具、というイメージがあるかと思います。そんな誰もが幼少期に慣れ親しんだトランポリンと、競技におけるトランポリンは、全くの別物といえるでしょう。トップレベルの選手であれば、女子で約6m、男子ではなんと約8mも跳躍します。また、その高さゆえに、着地時には体重の約10倍の負荷がかかるといわれます。今回は、常人離れした高さと演技で観客を魅了する、トランポリンの競技ルールや魅力についてご紹介します。

トランポリンは、体操競技やフィギュアスケートと同じ採点競技です。種目は個人競技、シンクロナイズド競技、団体競技に分かれますが、ここでは個人競技について説明します。
個人競技では、10種目の異なる技を連続で実施し、それを6名の審判員が採点、より高い得点を出した人が勝利します。採点は、演技点(E)、難度点(D)、跳躍時間点(T)、移動点(H)、そしてペナルティーの5つの要素で構成されます。平たくいうと、「より美しく、難しい演技を、高い跳躍で、トランポリンの真ん中付近に着地しながら」行うと、高得点を得られるという仕組みです。 ルールはいたってシンプルですが、10種目の演技をミスなく行うことは、至難の業です。また、競技トランポリンは、「やり直しがきかない、一発勝負」の世界です。例えば、10種目の演技のうち、1種目でも失敗すると、残り9種目分の得点にしかならず、その時点で他の選手と戦える点数にはならず、終了。高得点を狙って高難度の演技に挑戦しても、失敗すると勝負の土俵にすらあがることができなくなる・・選手たちは皆、とても厳しいルールの中で戦っているのです。

競技で使用するトランポリンは、縦520cm、横305cm、高さ115cmのフレームにナイロンテープ、またはロープで編まれたベッドに約120本のスプリングを張った、競技専用トランポリンです。メーカーによっても、試合会場の湿気や、跳躍の回数によっても感触は変化するそうで、選手はそのような変化にも対応しながら演技を行っています。

今回は、日本代表メンバーの西岡 隆成選手、山本 宜史コーチに2024年国際大会に向けたお話を伺いました。

トランポリン日本代表メンバーの西岡選手

Q:西岡選手から見たトランポリンの魅力を、選手&観客目線でそれぞれ教えてください。

A:選手目線での魅力は、なんといっても非日常的な体験ができるところです。技を磨いて、どんどんステップアップしていくところに面白さを感じています。観客目線では、高い跳躍の迫力でしょうか。実際にトランポリンをしていない人が見ていても、“映える”んじゃないかな、と思います。あとは、会場で生の演技を見ることもおすすめです。約7-8mもの高さの演技は、テレビで観るだけでは伝わらない迫力が感じられると思います。

Q:競技を始めたキッカケを教えてください。

A:近所に体操クラブがあり、2歳から通い始めました。そこでトランポリンをやっている人をみて自分もやりたいと思い、小学校1年生から本格的にトランポリンを始めて、1年生の間には1回宙返りができるようになっていました。当初は跳躍も30cmほどで、いつもわくわくしながら跳んでいましたが、今の方が恐怖心はあります(苦笑)。

Q:2024年の、日本代表選手としての意気込みを教えてください。

A:4年に一度の大舞台がありますが、そこにとらわれたくない、という気持ちもあります。欲張らずに、練習してきた以上のものは出ないので、やってきたことを存分に発揮する、ということを目標にしています。どうしても緊張してしまうと思いますが、楽しむ気持ちを忘れずにやっていきたいと思います。当然、今までサポートしてくださった方々の期待に応えたいですが、実際に演技をするのは自分。であれば、緊張するのはもったいない。後悔しないように、自分の思うようにやりたいです。

Q:山本コーチから見た、トランポリンの魅力と、2024年に向けた日本代表の見どころを教えてください。

A:トランポリンは、なんといっても高さが一番の醍醐味です。非日常的な運動であり、競技すること自体に魅力が詰まっていると思います。飛び跳ねること=喜びや楽しさ、ワクワクした気持ちの表現であり、見ている人も自然と気持ちが高まってくるのではないでしょうか。選手には、大舞台では誰もが、練習のようにはいかない、ということを想定して、気負わず挑んでほしいと思います。誰が出ても、緊張はします。自分が納得する演技をして、個人の成長につなげてほしいと思います。そのためには、どれだけ練習で失敗をするか。失敗したときの修正の仕方を、どれだけ持っておくが重要になるので、そこを我々がサポートしていけたらと思います。ワンミスはOK!そこからどうやってカバーするかを考えて、楽しく演技してほしいと思います。

トランポリン日本代表の山本コーチ

いかがでしたでしょうか。競技トランポリンの魅力が、少しでも伝われば幸いです。ミズノはオフィシャルサプライヤーとしてトランポリン日本代表を応援しています。ぜひ、皆さんもトランポリン日本代表選手を応援しましょう!