ダイナミックでスピーディな演技 男子体操競技のルールと魅力

現在の体操競技は19世紀のヨーロッパに端を発します。男子体操競技は1896年に初めて4年に一度の大会で実施され、その人気を徐々に高めつつ、現在ではさまざまな国と地域で親しまれる競技となりました。今回は、器具を用い常人離れした技の数々で得点を競い、豪快でスピード感あふれる演技が特長的な男子体操競技を紹介していきます。

画像提供:Getty Images, Inc.

体操競技は、それぞれの種目で設置された器具を使用して演技を行い、演技中の技を審判員が採点し、その得点で順位が決まります。採点は技の難易度を得点化したDスコア、演技の完成度を得点化したEスコアを合計したもので行われます。男子の競技では全6種目存在し、その内訳は「ゆか・あん馬・つり輪・跳馬・平行棒・鉄棒」となっています。

ゆか

「ゆか」は男女で共通の種目です。反発力の高い特殊な床素材を敷き詰めた床の上でジャンプを織り交ぜながら演技します。しかし男女で一部違いもあり、演技時間は男子70秒に対し女子90秒、また女子は演技中に音楽が流れますが、男子の演技では流れません。男子の場合は、短時間に派手な跳躍技を繰り返す豪快な演技が魅力です。

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あん馬

「あん馬」は、馬の鞍(くら)を模した器具を用いて演技する種目で、体操競技の中でもっとも難しいともいわれています。その理由として、演技開始から終了までノンストップで行われる点が挙げられます。一度の静止もなく技をつないでいくため、一つのミスが大きな減点につながってしまいますが、ミスなく演技を終えた選手には自然と拍手してしまうような優雅さがあります。

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つり輪

「つり輪」は、支柱からつるされた2本のつり輪を使って演技をする競技です。支柱の高さは5.8m、つり輪の高さは2.8mもあり、演技終了の瞬間まで支えになるのは自分の腕のみと、かなりのパワーを要します。また、両足をそろえてつま先までピンと伸ばす姿勢が基本となるため、抜群の姿勢制御を発揮する選手の姿にも要注目です。

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跳馬

「跳馬」は助走→踏み切り→着手→跳躍→着地の順に行われます。助走をつけてロイター板といわれる踏み切り板から跳馬に跳び、その跳躍の際に技を出し最後に着地します。女子の跳馬との違いとして、跳馬の高さが135㎝(女子は125cm)となっています。助走から繰り出される跳躍はダイナミックで、思わず息をのむ迫力です。

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平行棒

「平行棒」はその名の通りそれぞれ2mの高さで、平行に設置された2本の棒を使い演技をします。両手で1本の棒にぶら下がったり、片手ずつで2本の棒にぶら下がったりと、しなる棒をうまく利用してさまざまな体勢から多彩な技が繰り出されます。ジュニア年代では実施されない場合もあり、競技としての難易度が高いため訓練を積んだ選手の動きに目が離せません。

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鉄棒

「鉄棒」は、高さ2.8mの鉄棒から大車輪や手放し技を、遠心力を利用して繰り出していく競技です。一般人にもなじみ深い鉄棒ということもあって、体操競技の中でも一、二を争う人気があります。そのなじみ深さとは裏腹に、遠心力を利用した回転の数々はダイナミックで思わず見入ってしまうでしょう。

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それでは各競技に使用する器具を紹介します。国際大会では、大会ごとに指定されたメーカーの器具が使用されますが、実はそのメーカーの中にミズノグループの一員であるセノー株式会社があります。

▼セノー株式会社の体操器具についてはこちら
https://www.senoh.jp/business/gymnastics/

  • ゆか

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

  • あん馬

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

  • つり輪

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

  • 跳馬

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

  • 平行棒

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

  • 鉄棒

    画像提供:公益財団法人日本体操協会

また、以前のミズノマガジンではセノーの工場にも潜入しています。是非こちらもチェックしてください。

国際大会で導入されている器具を製作する
セノーの工場に行ってきた!

今回の取材に協力してくださった日本代表メンバーの中から、萱 和磨選手と、佐藤 寛朗コーチに2024年の国際大会に向けたお話を伺ってきました。

画像提供:公益財団法人日本体操協会

Q:萱選手から見た体操競技の魅力を、選手&観客目線でそれぞれ教えてください。

A:選手としての魅力は、緊迫した試合の雰囲気の中にたくさん練習してきたものをほんの数十秒の演技時間で成功させたときの爆発的な喜びですね!その数十秒のために選手は本当に多くの時間を費やしているので、その分喜びも大きいですよね。観客目線では、そういった選手の心情が演技の後にどう表情に出るかを注目してほしいです。良い表情の選手を見ると、きっと見ている側も嬉しくなれると思います。それに、日本の試合は選手の演技を、みんな息をのんでみてくれていますが、特に決勝なんかはその静寂の後に選手がうまく演技をして大きな歓声が上がると、格別の雰囲気を味わえます!

Q:競技を始めたキッカケを教えてください。

A:2004年の世界大会で、日本代表が団体で金メダルを取っているのを見ていて、その時に一気に体操に引き込まれました。当時小学校2年生で、その後3年生になってからすぐに始めましたね。そこからずっと、その金メダルを自分も取るんだという気持ちで追いかけ続けています。最近は、コロナ禍で世間が大変な時に、東京大会の自分たちの演技を見て「元気をもらった!」とファンの方から言ってもらえたりして、モチベーションがさらに上がりました。これから体操を始めるという方には、出来なかったことが出来るようになる喜びを感じて、常に楽しむことを忘れずに頑張ってほしいです!

Q:2024 年の、日本代表選手としての意気込みを教えてください。

A:この夏は金メダルを取りたいと思います!小さいころからの夢なので、団体でも個人でも最高の結果を出したいと思います。

画像提供:公益財団法人日本体操協会

Q:佐藤コーチから見た、2024年に向けた日本代表の見どころを教えてください。

A:昨年の世界選手権で団体金メダルを獲得できましたが、18人中15人が着地を成功させています。これは世界的にも日本の大きな強みなので、夏の世界大会に向けてさらに磨きをかけています。選手たちも、合宿などを通して橋本選手を中心に一致団結していて、誰が出ても力が出せる素晴らしいチームになってきています。ライバル国達も日本の着地に負けないよう練習を積んでいるという話も入ってきていますが、必ず金メダルを持ち帰りたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

画像提供:公益財団法人日本体操協会

男子体操競技に関する理解は高まったでしょうか?ミズノは魅力あふれる体操日本代表のユニフォームをサプライしています。2024年も世界の舞台で戦う選手たちを一緒に応援しましょう!