高い集中力で射貫く アーチェリー競技のルールと魅力
1.はじめに
アーチェリー競技とは、弓で矢を放ち、的中した矢の得点を争う競技です。屋外の平坦な射場で行う「ターゲットアーチェリー」、森や山といった自然の中で行う「フィールドアーチェリー」、室内で行われる「インドアアーチェリー」と大きく分けて3つの競技があります。4年に1度の世界大会では「ターゲットアーチェリー」が採用されていますが、はじめて採用されたのは1900年大会まで遡ります。1度採用競技から外れた時期があったものの、1974年から復活し、現在までの歴史を紡いできました。選手が見せる抜群の集中力は必見で、今回はこの夏盛り上がること間違いなしの「ターゲットアーチェリー」を紹介します。
2.競技のルール
今回紹介する「ターゲットアーチェリー」ですが、さらに使用する弓の形状ごとに3つの種目に分かれています。両端部分が逆側に反り返った弓を使用するリカーブ部門、両端に偏芯滑車といわれる装置が付くことで弓を引き、放つまでの動作がしやすいコンパウンド部門、装具などを付けず、射手の感覚のみで矢を放つベアボウ部門があります。そして、4年に1度の世界大会ではリカーブ部門のみが採用されています。
リカーブ部門の個人予選では、70mの距離から制限時間3分以内に6本の矢を撃ちます。これを12回繰り返し、1試合で合計72本の矢を放った総得点を競います。的の大きさは、直径122cmで、的の中は幅6.1cmごとの得点帯によって得点が決められており、的の中心から10点、9点、8点、・・・・、2点、1点、その外側と的を外れた場合は0点となります。64名の参加選手は合計得点によって順位付けがされます。
予選の後は1対1で行われるトーナメントに進み、組み合わせは予選の順位から1位の選手対64位の選手、2位の選手対63位の選手……となります。選手は制限時間20秒以内に1射ずつ交互に放ち、1セット3射30点満点で得点の高いほうの選手に2ポイント、引き分けの場合はそれぞれに1ポイントが付与されます。最大5セットまで行い、1マッチ6ポイント先取で勝利。両者5ポイントの引き分けのときはシュートオフ(タイブレーク)を行い、勝者を決定します。負ければ終わりのトーナメントは手に汗握る展開で、重いプレッシャーの中放たれる矢の一本一本に目が離せません。
国別の団体戦は、個人戦と同じく70mの距離から1チーム3名で各選手が2射ずつの1セット6射60点満点を計4セット行い、総得点の高い上位16か国が決勝に進みます。決勝では同じ形式でトーナメントが行われ、個人戦同様に勝てば2ポイント、引き分けの場合はそれぞれに1ポイントが付与され、5ポイント選手したチームの勝利です。団体戦では1セットの制限時間が2分のため、3選手でうまくペース配分をするチームワークが試されます。
3.使用する用具について
弓(ボウ)
弓の構造は「ストリング」「スタビライザー」「グリップ」「レスト」「サイト」「クリッカー」などのパーツに分けられます。
矢(アロー)
現在は、軽くて丈夫な「カーボンアロー」が主流です。
アームガード
弓を持つ側の腕に取り付けるプロテクターです。矢を放ったときのストリングから腕を守ります。
チェストガード
ストリングが胸や衣服に引っかかって出ていくのを防ぐための道具です。
タブ
弓のストリングを引くときに、指を守るプロテクターとして、指に取り付ける道具です。
クイーバー
矢を入れて、腰に下げる道具です。
タブ
カーボン製の矢
4.日本代表選手へ特別インタビュー
今回の取材にご協力してくださった、日本代表の園田稚選手と日本代表の河合徳之強化本部長に特別インタビューを行いました。
アーチェリー日本代表の園田選手
Q:アーチェリー競技の魅力を教えてください。
A:選手としての魅力は、70mも先にある的の中心にうまく当てられた時の嬉しさですね。試合が進むにつれて矢を射る前はシーンとした雰囲気が強くなっていきますが、それに比例して良いプレーが出たときの歓声や拍手が大きくなるので、嬉しさもその分大きくなります。見ている側としても、静寂から歓声が上がるときのギャップはきっと楽しいはずです。
Q:競技を始めたキッカケを教えてください。
A:中学校に通っていた当時、学校の近くにアーチェリー場があったんです。どういう感じか気になるねという話を母としていて、ある時連れて行ってもらったのがキッカケでした。そこで本格的に興味を持って競技をする中で、練習すればするほど得点が上がっていくことが楽しくなって今でも続けています。少しでも興味のある人は、まずは気軽に始めて体験してほしいです。
Q:24年に向けて意気込みを教えてください。
A:4年に1度の大会に出られるチャンスが幸運にも自分に巡ってきているので、全力で出場権を勝ち取りたいと思います!ぜひ応援してください!
アーチェリー日本代表の河合強化本部長
Q:2024年の日本代表の見どころを教えてください。
A:2024年は、4年に1度の大会へ向けて4月から海外で連戦が続きますが、女子の団体出場枠がまだ獲得できていないので、しっかりとそこに照準を合わせて全力を出したいと考えています。もちろんその先のメダル獲得にも注目して見ていただければと思いますので、応援よろしくお願いします。
5.最後に
皆さんアーチェリーへの興味は深まったでしょうか?実はミズノは全日本アーチェリー連盟のオフィシャルスポンサーを務めています。本戦出場を決めた男子に続いて、女子も団体での切符を勝ち取るべく活動されているので、夏の世界大会本番に向けて日本代表を一緒に応援しましょう!