水上の目線を味わう カヌー競技のルールと魅力

カヌーはもともと数千年前から続く水上の移動手段の1つですが、19世紀にイギリスで競技化されました。一口にカヌーと言っても、ブレード(水かき)が1つだけ付いたパドルを使用するカナディアン、両端にブレードがついたパドルを使用するカヤックの2つのタイプが存在します。近年では人工コースの設備も増えていますが、川や湖といった大自然の中で行われることもあります。
今回はそんなカヌー競技のルールや魅力をお伝えします。

カヤックやカナディアンといったパドルの違いの他にも、大きく分けて2つの種目が存在するので、その詳細を紹介します。

スプリント

「スプリント」は、流れのない静かな水上を9つのレーンに分かれて全速力で進み、着順を競う種目です。距離別に200m/500m/1,000m、人数別に1人乗りのシングル、2人乗りのペア、4人乗りのフォア、そこからカヤックとカナディアンの部門別に分かれます。そのどれもが猛スピードで水上を進んでいくため、選手の動きのダイナミックさやスピード感から来る迫力が魅力です。

スラローム

「スラローム」は、コース上に設置された2本のポールからなるゲートを順番に通過しながらタイムや技術を競う種目で、人数別にシングル、ペアがあり、そこからカヤックとカナディアンの部門※1で分かれて行われます。ゲートのポールに体が触れてしまった場合はタイムを2秒プラスされ、もしゲートを通過できなかった場合は50秒もプラスとなってしまうため、激流の中を下りながらゲートを通過するためには緻密なコースマネジメントと技術が必要です。その中で選手の光るパドルさばきは必見です。

※1 大会によってはカヤックとカナディアンのシングルのみ場合があります。

今回は特別に、2024年の国際大会でもカヌー日本代表としてスラローム競技で活動する羽根田 卓也(はねだ たくや)選手と、矢澤 亜季(やざわ あき)選手の用具を写真と共に紹介します。

パドル(カナディアン):1枚のブレードとシャフトからなるタイプのパドル

東京のカヌー・スラロームセンターで練習をする羽根田選手

東京のカヌー・スラロームセンターで練習をする羽根田選手

パドル(カヤック):2枚のブレードとシャフトからなるタイプのパドル

同じく練習中の矢澤選手

同じく練習中の矢澤選手

舟(ふね)

羽根田選手が実際に使用している舟

羽根田選手が実際に使用している舟

矢澤選手が実際に使用している舟

矢澤選手が実際に使用している舟

今回の取材に協力してくださったカヌー日本代表の羽根田選手、矢澤選手と、コーチの山中 修司(やまなか しゅうじ)さんにお話を伺いました。

  • 羽根田選手

    羽根田選手

  • Q:カヌー競技の魅力を、選手&観客目線でそれぞれ教えてください。

    A:まず選手目線の魅力は、激流を操る爽快感ですね。タイムを求めてゲートを通る達成感もあります。それに、元は大自然の中で楽しむものなので、アウトドアスポーツとしての気持ちよさも魅力の一つです。
    カヌー競技はゲートをくぐりながら進んでいくんですが、風でゲートが動いてしまったり、天候によって影響を受ける場合もあります。そういった中で、何が起こるか分からないスリリングさが見ているときは魅力に感じます。

    Q:競技を始めたキッカケを教えてください。

    A:きっかけは家族の影響でした。幼少期に家族で豊田市にある矢作川でカヌーをしていて、その時に水の上に浮かんで、流れに乗っていく爽快感を味わったことが今につながっています。これから始める方や、少しでも興味のある方には、昔はなかったようなカヌー・スラロームセンターが東京にあるし、旅行先のマングローブなどで体験もできると思うので、ぜひカヌーでしか味わえない水上の目線を楽しんで欲しいです。

    Q:2024年の、日本代表選手としての意気込みを教えてください。

    A:4年に1度の重要な大会もありますし、自分にとっては大事な年です。これまで培ってきた経験を生かして力を発揮したいと思います!

  • 矢澤選手

    矢澤選手

  • Q:カヌー競技の魅力を選手目線と観客目線で教えてください。

    A:選手としては、いいタイムを出すためにコースのライン取りや戦略、どういう風にゲートを通過していくかを考えて、それがタイムにつながっていくことが魅力だなと思います。見る側としては、選手によって流れに対するボートの動かし方が異なっていて、それが選手の持ち味を表していると思うので、そこに注目してもらえると楽しく観戦できると思います。

    Q:競技を始めたキッカケを教えてください。

    A:父が元々スラローム競技をやっていて、初めは兄がカヌーを始めたのですが、その様子を見て自分もやりたいと思ったのがきっかけです。よく地元の長野の天竜川を使って練習していました。これから始める方や興味がある方には、是非カヌーに乗って四季を楽しんで欲しいです。

    Q:2024年の、日本代表選手としての意気込みを教えてください。

    A:やはり4年に一度の大会があるので、準備してきたものを出して、応援してくださる方へ向けて最大限のパフォーマンスを発揮したいと思います。

  • 山中 修司 コーチ

    山中 修司 コーチ

  • Q:ズバリ2024年の日本代表の見どころを教えてください。

    A:2020年を境に、国内でもコースが出来たことで環境が整ってきました。それに加え、チームは羽根田選手、矢澤選手といったベテランと、田中選手、武藤選手といった若手がおり、非常にいいチームだと思います。若手選手がベテランの経験や技をどんどん吸収していって、よい循環が生まれているので、2024年の世界大会の活躍に注目してください。

ミズノはオフィシャルスポンサーとしてカヌー日本代表を応援しています。これを機に少しでも興味が湧いた人は、一緒にカヌー日本代表を応援しましょう!