知ってる?色々なスポーツのルール・トリビア ~フェンシング編~

  • フェンシング
  • 4年に一度、開催されるスポーツの祭典。中には、普段はあまりなじみがなくても、大会を通じて、注目度を高める競技もあります。そこで、皆さんにもっとたくさんのスポーツの魅力を伝えたいということで、いろいろなスポーツのあまり知られていないルールやトリビアを紹介していきます。 今回は、「フェンシング」についてです。

■フェンシングとは?

フェンシングには、剣で攻撃する有効面の位置によって、「フルーレ」「サーブル」「エペ」の3種目に分けられます。「フルーレ」は、胴体が得点範囲で、相手の胴体を突くことで得点となり、「エペ」は、手、足、頭や下半身含め全身どこを突いても得点となります。「サーブル」は、頭、腕を含む上半身が得点範囲です。男女とも共通のルールで、「個人戦」と「団体戦」があります。

個人戦は、予選では3分間で5ポイント先取。決勝トーナメントは、3分間3セットで15ポイント先取した方が勝利となります。団体戦は1チーム3名で、1名あたり3名の相手と対戦し、合計9試合が行われます。3分間で5ポイントごとの勝負を行ない9試合で45本先取、または9試合目までの合計でリードしたチームが勝ちとなります。試合は、「ピスト」と呼ばれているフェンシングの競技コート(幅1.5~2m、長さ14m)で行われます。

■「電気審判機」が得点を判定

  • フェンシングが他のスポーツとは違うユニークなポイントの一つが、得点は機械が判定することです。剣の先端には、スイッチが内蔵されていて、相手のメタルジャケットに触れると通電し「電気審判機」が攻撃の有効性を判定、オレンジのランプがついたほうの得点となります。!

  • フェンシング 電気審判機

    電気審判機

  • フェンシングで使用する道具
  • フェンシングで使用する道具

■フェンシングで使用する道具について

フルセットを揃えるには、10~15万円くらいかかります。剣単体では2万円くらいです。選手によって所持する剣の本数も違います。

フェンシングで使用する道具:フルーレで使用する道具一式

フルーレで使用する道具一式

・マスク… 金網部分は、12kgの圧力に耐えられるようにできていて、マスクについた前垂れは、喉元を保護する役割があります。
・メタルジャケット… 通電仕様のジャケットです。フルーレの場合、胴体から足の付け根までを覆うメタルジャケットになります。
・プロテクター… メタルジャケットの下に着用し、剣の衝撃を二重に保護する役割があります。防弾チョッキに使用される素材でできているそうです。
・ニッカーズ… メタルジャケットの下に着用し、腹部を二重に保護するための膝下丈のズボンです。
・フルーレ… 「フルーレ」の種目で使用する剣です。長さ110cm以下、重量500g以下、ガード(つば)の直径12cm、ガードから剣の先端まで90cm以下と規定されています。ガードの内側に電気審判機を接続するコネクターがあります。
※「サーブル」「エペ」では、形状や規格が異なる剣を使用します。
・グローブ… パッドが入っていて、手から腕の半分までを保護します。

■シューズは何を履いている?フェンシングシューズ?

  • フェンシング専用のシューズもありますが、シューズに特に規定はありません。素早い横の動きに対応できるシューズを好んで履いている選手が多いです。ミズノブランドアンバサダーの藤野選手は、クッション性とフィット感を兼ね備えたミズノのテニスシューズ「ウエーブエクシード」を使用しています。

  • ウエーブエクシード

■フェンシングを始めるきっかけは?

友達や親がフェンシングをやっていることをきっかけに始める方や、近所にフェンシングスクールがあることがきっかけで始める方が多いそうです。フェンシングをプレーするのに特に資格は必要ありません。道具をレンタルできるところもあり、誰でも気軽に始めることができます。

■フェンシングならではの、意外なことや苦労するところなど、“フェンシングあるある”

①忘れ物やロストバゲージ
必要な道具の種類が多いので、試合前の準備は忘れ物がないように何度も確認します。他の選手の道具を借りて試合すると、感覚も全く違ってしまうそうです。また、海外遠征で飛行機での移動となると、ロストバゲージ(=飛行機の乗り継ぎで、荷物が移動されず、予定通りに受け取れないこと)にも苦労するそうで、1年間に1回は、だいたいどの選手も経験するそうです。

②試合で使用される言葉はフランス語
フェンシングはフランス発祥のスポーツなので、道具の名前や審判が使用する用語はフランス語です。 例えば、主審による「アレ」(始め)の合図で試合が開始され、「ラッサンブレ、サリュー」(気をつけ、礼)で試合終了となります。

■プロ選手として活躍されている藤野大樹(ふじのだいき)選手(デンソー岩手)に、フェンシングの魅力や今後の目標について、お聞きしました。

  • 藤野大樹選手
  • Q.フェンシングの魅力はどのようなところ?
    「身体能力や体格の違いなどがあるなかで、相手との“駆け引き”がフェンシングの大きな魅力だと思います。もちろんリーチの長い選手が有利ではありますが、適切な距離感をとり、素早いステップで相手の間合いに入るなど、リーチの差を埋めるための戦い方はいくらでもあります。そのような選手の“駆け引き”に注目しながら、フェンシングを観戦するともっと面白くなると思います。個人的には、勝てなかった相手に勝てるようになったときは、自分の成長を感じられるので、フェンシングをやっていて楽しいと思う瞬間ですね。」

  • 藤野大樹選手
  • Q.今後の目標は?
    「2008年の北京で日本人が始めてフェンシングでメダルを獲得してから、プロ選手としてフェンシングをプレーしている選手も増えてきているように、日本のフェンシング界は確実に進化しています。2020年、4年に一度の祭典が自分の生まれた国で開催されるというとても幸せなタイミングでもあるので、まずは出場できる権利をしっかり取って、メダルを獲得することを目標に練習に励みたいと思います。2020年にメダルを獲ることが自分の使命というくらいの気持ちで、がんばっていきますので、これからも応援よろしくお願いします!」

■最後に

  • 今回の取材は、東京フェンシングスクールの皆さんにご協力いただきました。
    ミズノは、これからもフェンシングの藤野大樹選手を応援していきます。

  • 東京フェンシングスクール

    取材協力:東京フェンシングスクール