ミズノプロ35周年にかける熱い思い~デザイン編~

ミズノの野球グラブのブランド、ミズノプロが35周年を迎えるにあたってデビューした「ミズノプロクラシック」。2回にわたってお届けする今回は後編として、デザイン担当者の丹(たん)にインタビュー。今まで定番品のグラブのデザインには、それほど個性を出せるものではなかったからこそ、今回の35周年でのこだわりに注目します!

グラブのデザイン担当の丹

丹は2019年に入社、入社当初から野球グラブのデザインを担当し、今は並行してバットのデザインも担当しています。グラブのデザインでは、プロ野球選手のウェブや刺繍のデザインなども行っています。

定番品として販売されているグラブは、本体や紐の色は企画時点ですでに決まっており、デザイン担当者がこだわりを出せる部分はそれほど多くありませんでした。しかし、今回の「ミズノプロクラシック」においては、デザイン面においても「今のミズノができる最高のグラブ」を作り出すことを目標としていました。35年間の集大成として、何かできることはないか?検討スタートです。

実は、ミズノプロのグラブに使用されているロゴマークには、オリジナルのゴールドを使用しています。メタリック感を出すために、他にはないゴールドを採用しているのです。
まずは社内関係者にミズノプロのロゴマークのイメージを調査したところ、「ゴールドの刺繍」が圧倒的に多い回答でした。35年間、ミズノの中では確固たる地位を築いてきたブランドだからこそ、新しさだけではなく、伝統を継承する必要性も感じたそうです。

そうはいうものの、ただゴールドの種類を変えるだけではつまらない。さまざまな意味を込めた色を複数色組み合わせることで、35年間の集大成を表現することにしました。

ここで、今回のロゴマークの色に込めた思いを紹介します。最終的には、4色を組み合わせることにしました。
新しいものの中にも伝統を継承する思いを込めて、1色目はミズノプロ初代のロゴマークで使用されていた藤黄色。2色目は現在のロゴマークで使用されている黄金色。

(左から)初代ロゴマーク、現在のロゴマーク

3色目は、35年間の歴史の上にさらに積み重ねていくという思いを込めて、琥珀色。そして4色目には、いつも勝利に向かって突き進む球児たちと、いつも太陽の方を向き続ける向日葵(ひまわり)を重ねて、そしてミズノプロが球児たちにとっての太陽となれるように、そんな思いを込めて、向日葵色にしました。

「ミズノプロクラシック」で採用したロゴマーク

ミズノプロの刺繍糸は、メタリック感のあるフィルムを細切りにし、それを糸に巻き付けて作られています。複数色での試みは今回が初めて。その上、糸の色や組み合わせをシミュレーションできる機械がないため、自分でシミュレーションをしてみることにしました。
フィルムに近いデータを作り、それをデータ上で細切れにし、まばらに組み合わせた上で、ロゴマークに入れ込む。それだけでも非常に労力のかかる作業でした。

4色と5色の2パターンでシミュレーション

デザインをする上で一番難しく、苦労する部分は、仕上がりの想像ができないことだそうです。シミュレーションの時点では良くても、糸にした時点では良くても、いざワッペンとして形にしてみると、思ったような仕上がりにならないことが何度もありました。今回のミズノプロの場合は特に、メタリック感を大事にしていることもあり、フィルムの巻き方・巻く回数・ベースとなる糸の色の調整…、全てにおいて何度も微修正して、ワッペンに仕上げる作業を繰り返しました。一回の試作だけで時間がかかってしまうこともあり、この作業だけで1年以上かけながら、最終形を完成させたそうです。

元の糸に巻き付けるメタリック感のあるフィルム

最終的に採用した刺繍糸

こんな道のりを経て完成した今回の新しい色は「ザ クラシカル ゴールド」と名付けられ、「ミズノプロクラシック」とともに世の中にデビューしていきました。

最後に、丹からユーザーの皆さまへメッセージです。

「グラブのロゴマークに、ここまでの開発期間を要したのは正直初めてでした。ただ、それだけミズノがグラブ、そして今回の「ミズノプロクラシック」に真剣に向き合っている、ということを感じていただければと思います。遠目では、もしかしたらいつも通りのロゴマークに見えるかもしれませんが、ぜひ店頭で手に取って、マークの秘められた魅力をじかに体感していただけたら嬉しいです!
今回の「ミズノプロクラシック」をはじめ、ユーザーの皆さまに「またミズノがすごいグラブを作ったな」と、言っていただけるような商品開発をこれからもしていきたいと思います!」

いかがでしたでしょうか?ミズノプロブランドは、たくさんのユーザーの皆さまに支えられ、2024年で35周年を迎えることができました。グラブ製作チーム全員が全力を尽くし、こだわりを持って仕上げた今回の「ミズノプロクラシック」。たくさんの込められた思いを、少しはお伝えできましたでしょうか? まだまだこれからも進化し続けるミズノプロ。支えてくださるたくさんの野球人の皆さんと、これからも。