“靴の神様に愛された男“とは。ミズノのファッションスニーカーのお仕事について

ミズノスポーツスタイルとは、2016年にデビューしたミズノのファッションカテゴリーです。主にスニーカーは、ミズノがパフォーマンス分野で培ってきたテクノロジーとファッションを融合させた設計で、1980 年代に展開したモデルのフォルムを踏襲しつつ、素材やカラーリングなどを日常生活にフィットするデザインに仕上げています。

ミズノスポーツスタイルのシューズ

現在、グローバル分野を含めてミズノスポーツスタイルスニーカーの中枢を担っているのが、スポーツスタイルシューズ企画の齊藤健史です。齊藤は、2017年にミズノに入社しましたが、それまでは某外資系スポーツメーカーで11年勤務していました。元々、さまざまなスニーカーのデザインや企画を担当し、たくさんの人気スニーカーを世に生み出してきた齊藤は、「ミズノが持っているスポーツテクノロジーを、自分の手で、もっとファッションスニーカーの分野で生かしてみたい!」という思いを持ってミズノに入社したといいます。

齊藤:特に自分が興味を持ったのは、ランニングのソールに使われていたインフィニティウエーブを搭載した“プロフェシーソール”です。機能面はもちろん、ミズノウエーブの中でも特に、見た目にも美しいこのソールを生かしたものづくりをしたいと思いました

入社後、初めはランニングシューズの企画を担当した後、2018年にはランニングとスポーツスタイルのシューズ企画を兼任、2019年からはスポーツスタイルシューズの専任となり、今に至ります。

齊藤のデスクをのぞき見。画面に映る最新スニーカーにも”プロフェシーソール”が搭載されている

齊藤のデスクをのぞき見。画面に映る最新スニーカーにも”プロフェシーソール”が搭載されている

ミズノに入社後、齊藤にとって転機となったのは2019年。その前年に、ミズノスポーツスタイルでは「KAZOKU」プロジェクト※1が始動、いよいよスポーツ×ファッション分野に注力しよう、ミズノスポーツスタイルを強化していこうという流れがきていました。そこで齊藤はミズノの象徴でもある「ランバードマーク」をあしらったスニーカーではなく、こだわりを持ち続けていた“プロフェシーソール”をあえて前面に押し出したシューズを生み出しました。それが、「rhrn(アールエイチアールエヌ)」です。クッション性と安定性の両立を追求する中で誕生したソール形状の機能性はもちろん、アッパーにはミズノがTBカワシマと共同開発した独自のニット素材「3D KNIT SOCK FITTING」を採用。見た目にも新しい、機能性とデザインが高次元で融合した一足がストリートシーンに打ち出された瞬間でした。

※1 KAZOKUプロジェクト・・・2018年から始まった、ミズノが世界各国のスニーカーシーンをリードするショップやブランドをパートナーに、これまで発売してきた膨大なスポーツシューズのアーカイブの中から、厳選したモデルを現代に蘇らせグローバル展開するプロジェクト。

rhrn

「rhrn」の発売当日には、先行販売されたドーバーストリートマーケットギンザに行列ができました。新たな挑戦として作り出したスニーカーを求めて行列ができた光景は、齊藤にとって忘れられないものであったといいます。「rhrn」はその後第2弾が発売され、アパレルにも水平展開されるなど、広がりを見せました。「rhrn」が世の中に認められ、反響を生んだことは、齊藤にとって大きな出来事になりました。

ドーバーストリートマーケットギンザの行列

自分自身が“スニーカーオタク”であると豪語する齊藤。ものづくりへのこだわりとして、まずはそのスニーカーを“自分が欲しい”と思えるかどうか、という視点を大事にしているそう。

齊藤:自分が欲しい、と思えると同時に、それが自己満足になってはいけないので、いかにスニーカー好きに“欲しい!”と思ってもらえるか、そこにお客さんがいるかという点も重視しています。もちろん、シーズンディレクションなどブランドの方向性もあるので、それをどうかみ砕いて商品に落とし込むか。他社を経験してきた自分だからこそ、ミズノが持っているリソースを使ってどう生かしていくのか。難しい挑戦ですが、イチスニーカー好きとしてありがたいですし、やりがいもあって、楽しいです

これまで幾度となく訪れた人生の転機となるタイミングで、さまざまな縁がつながって今に至るという齊藤。困難に直面したときには、「靴の神様が与えてくれた試練」ととらえて対峙し、うまく乗り越えてきたといいます。まさに“靴の神様に愛された男”といえるのではないでしょうか。

仕事の様子

齊藤が企画した最新スニーカー「WAVE PROPHECY MOC(ウエーブプロフェシーモック)」は、2023年10月下旬に発売されました。プロフェシーソールにモカシンシューズのアッパーデザインを搭載したスニーカーは、単に過去発売してきたオリジナル品のリバイバルではなく、履き口の細かな部分までこだわり、フィット感と快適性を追求した一足です。発売後、瞬く間に完売となってしまったこちらのスニーカーですが、再販についても模索中とのこと。ミズノスポーツスタイルスニーカーの今後の展開にぜひ、ご注目ください!

MIZUNO SPORTSTYLE スニーカー