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Interview : Ryoji Tsuchiya of Rock Steady Crew 歴史あるHIP HOPクルーに在籍するミズノ社員 Vol.1

現在の音楽業界において欠かすことのできないHIP HOP。ボーイズバンドや、燦爛たる衣装に身を包んだアイドル達がビルボードチャートの上位を独占していた頃とは時代が大きく変わった。そのルーツは70年代のニューヨークはサウスブロンクス地区にある。スラム街から生まれたBREAKING、MC、DJ、GRAFFITIの四大要素からなるムーブメントだ。その黎明期には多くのクルーが存在したが、中でも異彩を放っていたのが『Rock Steady Crew』だった。今年40周年を迎える歴史あるHIP HOPクルーに2016年に新たに加入した日本人がいる。ミズノ社員の「土屋 亮二」、通称"2ucci"だ。5月にプエルトリコで開催された“Puerto Rock Steady Music Festival”、7月にニューヨークで開催されたRock Steady Crew 40周年記念イベントをはじめ、精力的に活動を続ける土屋氏にインタビューを敢行。『Rock Steady Crew』との出会いから現在のシーンに対する思いを伺う。

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- 『Rock Steady Crew』との出会いとは -

Hip-Hopカルチャーと初めて出会ったのは高校生の時に友人が貸してくれたビデオテープなんですが、そこに出ていたのが『Rock Steady Crew』でした。ビデオに収録されていた彼らのゲストショーでは、RAPをしたり、スプレー缶を噴射したり、そしてBREAKINGというダンスをしていたんです。
当時テニス部に所属していて、友人と街を出歩いたり、音楽を聞いたり、という至って普通の高校生だった私には、衝撃的で、かっこ良くて、直感的にワクワクしたのを覚えています。ルールが多い学生生活の中、反骨精神のようなものも少しあって(ちゃんと勉強はしてました 笑)、Hip-Hopカルチャーの根底にある自分らしさとか、メッセージを発信すること、人間の本能的な熱量に魅力を感じました。
友人がやっていたこともあってごく自然に私もダンスを始めるのですが、それからHip-Hopの世界にいる中で『Rock Steady Crew』は常に自分のヒーロー的な存在でした。

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Document : RSC Masami Studio

- 『Rock Steady Crew』はどのようにして成長を遂げてきたのか –

Hip-Hopカルチャーは1970年代前半から、ニューヨーク・ブロンクス地区のゲットー(大都市に存在する貧困層の密集居住地域)に住んでいたアフリカ系住民やラテン系住民により、DJ、MC(RAP)、BREAKING(DANCE ※メディアではブレイクダンスと呼ばれ広まりました)、GRAFFITI が一体となったカルチャーとして形成されました。"PEACE" "UNITY" "LOVE" "HAVING FUN" という精神が土台になっている文化です。
『Rock Steady Crew』はブロンクス地区のプエルトリコ系コミュニティーを中心に1977年に結成されました。現リーダーである「Crazy Legs」は1979年に加入、その後リーダーを引き継ぎ、BREAKINGシーンを中心に勢力を拡大していきました。1970年代後半はBREAKINGシーンに流行の波が訪れ、人気が低迷していた時期でもあります。それでも「Crazy Legs」はニューヨーク中を動き回りBREAKING BOY(B-BOY)を探しては、バトル(即興で踊り競い合うコミュニケーション)を挑むという草の根活動を通じて仲間を増やしていきました。また、ダンサーに限らずHip-Hopカルチャーに関わる人も仲間として活動を続け、当時ニューヨークには500人を超えるメンバーがいたと言われています。

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Photo : New York Daily News / Getty Images

1980年代前半には、Hip-Hopカルチャーを取り上げた映画『Wild Style (1982)』、『Style Wars (1983)』、『Flash dance (1983)』、『Beat Street (1984)』などに多くのメンバーが出演し、世界中へHip-Hopカルチャーが広まるきっかけになりました。又、1981年のマンハッタンのリンカーン・センターでの『Dynamic Rockers』とのバトルなど、語り継がれる伝説的なストーリーもあります。1983年には日本にも来日し、当時のメンバーが日本のテレビ番組「笑っていいとも」や「タモリ倶楽部」にも出演したという話もあります。その後1980年代後半にかけて、RAPシーンを中心にHip-Hopカルチャーはアメリカで大きな広がりをみせ、商業的にも拡大していきました。
その頃『Rock Steady Crew』としても活動範囲をグローバルに広げ、Hip-Hopミュージカル“JAM ON THE GROOVE”の中心メンバーとして世界中で公演を行いました。加えて各国でのHip-Hopイベントへの参加、様々なアーティストのミュージッククリップへ出演するなど、アンダーグラウンドからメジャーシーンまで分け隔てなくグローバルな活動を通じHip-Hopカルチャーの発展を支える存在となり現在に至ります。
現在も、DANCE、DJ、MC、GRAFFITIアーティスト、関連する活動をするメンバーで構成されています。

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Photo : Joselle Yokogawa

そして現在は、リーダーのCrazy Legsは社会活動や教育にも力を入れてきています。
一つ例を挙げるのであればプエルトリコでの活動ですね。近年、プエルトリコは財政破綻に苦しんでいるのですが、『Rock Steady Crew』やHip-Hopカルチャーのルーツでもあります。そのプエルトリコの経済を再び活性化する為の活動として"Puerto Rock Steady Music Festival"を現地で開催したり、国の教育支援が少なくなる中、子ども達の教育の場を減らさぬようにHip-Hopカルチャースクールを無料で開くなど様々な活動をしています。
又先日は、"Rock Steady For Life" という新しいMusic Festivalをスタートすることを発表しました。これは、Hip-Hopカルチャーを通じたプロジェクトで、アーティストへの経済的サポートや雇用、若者への教育プログラムも含んだ仕組みを創る社会活動です。
Hip-Hopカルチャーが持つ最大のパワーは、"未来を創る"ということなんです。それを実現していくことが我々の使命でもあるんです。

Vol.2 へと続く

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