杉浦 悠太 ミズノブランドアンバサダー契約

50回の記念大会となった2023年の「ダンロップフェニックストーナメント」。優勝したのは日大ゴルフ部4年生のアマチュア・杉浦悠太だった。優勝後、プロ宣言をした若手有望株に、試合のこと、そしてこれからの野望を語ってもらった。

勝ちたいという気持ちは強く持っていましたね

2位に4打差でスタートした最終日。スタートホールでいきなりティショットを左の林に打ち込み、このホールはボギー。2023年で50回目を迎えた伝統の「ダンロップフェニックス」はアマチュアの優勝を、そう簡単には許してくれない。そう思った人も多かったはずだ。
しかし、日本大学ゴルフ部4年の当時アマチュアとして出場した杉浦悠太は、むしろこのボギーで緊張がほぐれたという。
「いきなりのミスでしたが、“嫌な予感”は全くなかったですね。どちらかというと、“今日も頑張らないと”という気持ちになりました」

その後も、「調子が良かった」というドライバーで果敢に攻め続けた杉浦。11番でダボ、12番でボギーを叩き2打差に迫られたが、最終的には3打差で逃げ切った。国内男子ツアーでは7人目、「ダンロップフェニックス」では初となるアマチュア優勝となったが、本人は虎視眈々と頂点を狙っていたという。
「優勝までのイメージが出来上がっていたわけではなかったですが、勝ちたいという気持ちは強く持っていましたね」
ここ数年、アマチュアのツアー優勝者が続々と誕生していることもあって、今の若手にとって、優勝は達成困難な目標ではなくなってきているのだろう。現に杉浦も、「自分でもできるんじゃないかと思いました。プロの試合に出るからには、優勝を目標にしてやらないといけない」と思っていたというのだ。

杉浦 悠太 写真

とはいえ、彼が戦っていたのは、「ダンロップフェニックス」の大舞台。それでも平常心で戦えたというのは、よほど心臓が強いのか。
「もちろん、普通に緊張しましたよ(笑)。ただ、あの4日間は、ショットの調子が良くて、プレーを楽しめたことが良かったんだと思います」
勝因は、バーディチャンスをしっかり決めることができたこと。
「ストロークも安定していましたが、ボールをやさしいラインに置くことができたことも良かったですね。狙って打ったストロークもありましたが、たまたま入ったラッキーな面もありました」
そう謙遜するが、ショットのキレは抜群。杉浦自身、“好きなプロゴルファー”の筆頭に、12、13年に同大会を制し、元世界ランク1位のルーク・ドナルドを挙げるが、その切れ味はドナルドに匹敵するほど正確だった。
「ドナルドプロは中学生のときから憧れの存在。映像でしか見たことがありませんが、アイアンが上手くて、パッティングも安定している。いつかああいう選手になりたいと思ってプレーをしています」
そのドナルドが歴代優勝者に名を連ねる大会で初優勝を遂げたというのも、何かの縁かもしれない。

まずは賞金王を目標に進んでいく。

一つのターニングポイントとなったのがABEMAツアーの「ダンロップフェニックストーナメントチャレンジinふくしま」で下部ツアー史上8人目のアマ優勝だ。
「この優勝は自信になりました。下部ツアーでも優勝する実力があるんだと実感しました」。そして、「ダンロップフェニックス」優勝につなげた後、プロ宣言をした。これまでもゴルフ中心の生活だったが、24年はさらに忙しくなるのは間違いない。将来の夢は、マスターズでの優勝。その夢に向け、まずは賞金王を目標に進んでいく。