失敗しないマラソンの
ペース設定とは?
完走・自己ベスト更新のための練習法、
レース戦略を解説
マラソンで目標タイムを達成するには、「自身の走力に合ったペースを理解し、42.195kmを通して維持する」といった戦略的な取り組みが重要です。 つまり、自己ベスト更新を目指す方も初めての完走を目指す方も、成功の鍵は「ペース」の管理にあります。
本記事では、基本的なペース計算からレース本番の戦略や適切なランニングシューズの役割まで、マラソンのペースに関する情報を網羅的に解説します。
また、ミズノではフルマラソンの目標達成に向けて、レベルごとに別れた5つのプランにより、練習メニューやおすすめのランニングシューズなどを紹介するコンテンツを公開しています。 すでに目標を定めているランナーの方は、ぜひこちらのコンテンツもご覧ください。
最後まで走り切るために。ミズノの技術が安定したペース維持をサポート。
走行時の安定性に配慮した「ミズノウエーブ」と、衝撃吸収性と反発性を両立した「ミズノエナジー」。42.195kmを通じて、安定したフォームとペースの維持に貢献する技術が、目標達成への挑戦を支えます。
マラソンのペースの計算方法を理解する
マラソンのペースを管理する第一歩として大事なことは、「自身の走力を客観的な数値で把握すること」です。基本的な計算方法を理解すれば、現実的な目標設定やトレーニング計画を立てやすくなります。
現在のランニングペースを算出し、自身の走力を把握する
現在のランニングペースは、簡単な計算式で求められます。普段の練習で走った時間と距離を記録し、1kmあたりのペースを算出する習慣をつけましょう。
●ランニングペースの計算式(1kmあたり)
•ランニングペース(分/km)= 時間(分)÷ 距離(km)
たとえば、30分で5kmを走った場合、計算式は
30 ÷ 5 = 6
となり、ペースは1kmあたり6分00秒です。この数値を基準に、自身の走力レベルを把握できます。
一般的には、初心者は1kmあたり7〜8分、中級者は5〜7分、上級者は5分未満が目安です。
目標タイムからマラソンペースを逆算する
フルマラソンの目標タイムが決まっている場合、レース全体で維持すべき1kmあたりのペースを逆算できます。この目標ペースがトレーニングにおける重要な指標となります。
●ランニングペースの計算式(1kmあたり)
•目標ペース(分/km)= 目標タイム(分)÷ 42.195km
たとえば、4時間(240分)での完走を目指す場合、
240 ÷ 42.195 = 約5.7
となります。これを秒に換算すると約5分41秒となり、レース中は1kmあたりこのペースを維持することが目標になります。
短い距離のタイムからフルマラソンのタイムを予測
10kmやハーフマラソンのレース経験がある方は、そのタイムを基にフルマラソンの潜在的なタイムを予測することもできます。スタミナのレベルを示す「持久係数」という指標を用いて計算します。
●持久係数を用いた予測タイムの計算式
•フルマラソン予測タイム = 10kmのレースタイム(分)× 4.6〜4.8
•フルマラソン予測タイム = ハーフマラソンのレースタイム(分)× 2.07〜2.20
この計算は、現在の走力でどれくらいのタイムが期待できるかを知る有効な手段です。逆に、目標タイムが現実的かどうかを評価することもできます。
たとえば、フルマラソン4時間30分(270分)を目指す方が、直近のハーフマラソンを2時間20分(140分)で走った場合、
270 ÷ 140 = 1.92
となります。持久係数の目安である2.05を下回っているため、より高い目標タイムを設定できる可能性があると判断できます。
これらの計算は単なる数字合わせではなく、自身の持久力という課題を可視化する診断ツールとして機能します。
目標タイム別マラソンペース早見表
目標タイムを達成するには、レース中の各地点をどのくらいのタイムで通過すればよいかを事前に把握しておくことが重要です。 以下の表は、主要な目標タイムごとに1kmあたりのペースと各通過地点の目安タイムをまとめたものです。 この表は一定ペースで走り続けた場合の理想的な数値です。レース中のペース管理の目安として活用ください。
| 目標タイム | 1km ペース | 5km ラップ | 10km ラップ | ハーフ通過 | 30km 通過 | 42.195km |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サブ3 | 00:04:15 | 00:21:15 | 00:42:30 | 01:29:59 | 02:07:30 | 02:59:59 |
| サブ3.5 | 00:04:58 | 00:24:50 | 00:49:40 | 01:44:59 | 02:29:00 | 03:29:59 |
| サブ4 | 00:05:41 | 00:28:25 | 00:56:50 | 01:59:59 | 02:50:30 | 03:59:59 |
| サブ4.5 | 00:06:23 | 00:31:55 | 01:03:50 | 02:14:59 | 03:11:30 | 04:29:59 |
| サブ5 | 00:07:06 | 00:42:35 | 01:25:10 | 02:59:59 | 03:33:00 | 04:59:59 |
| 6時間 ~ | 00:08:31 | 00:42:35 | 01:25:10 | 02:59:59 | 04:15:30 | 05:59:59 |
レースを制するマラソンのペース配分3つの戦略
目標ペースを計算し、ペース表を準備した次は、レース本番でのペース配分戦略を立てる段階に移ります。 ペース配分は大きく3種類に分類され、それぞれにメリットとデメリットがあります。自身の走力レベルとレースの目標に合わせて、最適な戦略を選択することが重要です。
イーブンペース:エネルギー消費を抑える理想的な走り
イーブンペースとは、スタートからゴールまで一貫して同じペースで走り続ける戦略です。ペースのアップダウンがないため、エネルギー消費を抑えやすく、生理学的には最も効率的な走り方とされています。
特に、初めてフルマラソンに挑戦する方や、確実に完走したい方にとって、体力の消耗を管理しやすい基本の戦略です。 ただし、スタート直後の混雑やコースの起伏、レース後半の疲労などにより、完璧なイーブンペースを維持することは現実的には難しい課題でもあります。
ネガティブスプリット:後半にペースを上げる上級者向け戦略
ネガティブスプリットは、レースの前半よりも後半を速いペースで走る戦略です。前半は意図的にペースを抑えて体力を温存し、多くのランナーがペースダウンする30km以降でペースを上げていく走り方です。 この戦略は、後半に他のランナーを追い抜く爽快感が得られるだけでなく、結果的に良いタイムにつながりやすいとされています。 ただし、実行するには自身の体力を正確に把握し、前半のペースを冷静にコントロールする高い経験値と自制心が求められます。自己記録の更新を目指す中級者から上級者向けの戦略といえるでしょう。
ポジティブスプリット:前半に貯金を作れるも後半に失速が起こる
ポジティブスプリットは、ネガティブスプリットとは逆に、前半に目標ペースより速く走り、「タイムの貯金」を作る戦略です。レース序盤は体力に余裕があるため、多くのランナーがこのパターンに陥りがちです。 しかし、前半のオーバーペースは、後半での急激なエネルギー切れや脚の疲労を招き、結果的に大幅なペースダウンにつながる可能性が高いです。作った貯金を使い果たすどころか、歩いてしまう事態にもなりかねません。 計画的な戦略というよりは、避けるべき失敗パターンとして認識しておくべきでしょう。
ランナーのレベル別おすすめのペース戦略
●初心者ランナー
まずはイーブンペースを基本とします。目標はタイムを稼ぐことではなく、エネルギーを温存して最後まで走りきることです。スタート直後は周囲の雰囲気に流されず、意識的にペースを抑える勇気が求められます。●中級ランナー(サブ4〜4.5目標)
厳密なイーブンペースよりも、わずかなネガティブスプリットを目指すのが効果的です。最初の5kmは目標ペースより5〜10秒/kmほど遅く入り、体をレースに慣らします。その後、中間地点までは目標ペースを維持し、余力があれば30km以降に少しペースを上げるという、リスクを抑えた戦略がおすすめです。●上級ランナー(サブ3.5以下目標)
明確なネガティブスプリットが目標達成の鍵となります。日頃のトレーニングを通じて、自身の身体がどのペースでどの程度の時間走り続けられるかを熟知し、計画的に後半のペースアップを実行する高度なレースマネジメントが求められます。一定のマラソンペースを維持するためのトレーニング
計画したペース戦略をレース本番で成功させるためには、日々のトレーニングでペース感覚を養い、長距離を走り抜くための身体の土台を作ることが重要です。 特に重要なのが、「LSD」と「ペース走」という2種類のトレーニングです。これらはそれぞれ異なる目的を持つため、組み合わせることで相乗効果を発揮します。
ペース感覚を身体に覚えさせるLSD(Long Slow Distance)
LSDは、その名の通り「長く、ゆっくりとしたペースで走る」トレーニングです。目的はスピードを上げることではなく、長時間動き続けることで、マラソンに必要な基礎的な持久力を養うことにあります。ペースの目安は、隣の人と会話を楽しめるくらいの余裕がある速度です。
このトレーニングには、主に2つの重要な身体機能への効果があります。 第一に、全身の毛細血管を発達させ、筋肉への酸素供給能力を高めます。 第二に、エネルギー源として脂質を効率的に利用する能力を向上させます。
※参考文献
運動中の非訓練男性と訓練男性における脂肪酸酸化の調節
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9530135/
骨格筋における毛細血管密度の高スループット解析断面
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10804241/
これらの能力は、レース後半でのエネルギー切れ(ハンガーノック)を防ぎ、ペースの維持に直結するため重要です。
LSDは週に1回、まずは60〜90分程度を目安に行い、徐々に時間を延ばしていくのがよいでしょう。重要なのは距離ではなく時間であり、ゆっくりとしたペースでも正しいフォームを維持することを意識してください。
レース本番を想定したペース走
ペース走は、レース本番で目標とするペース(レースペース)か、それに近いペースで一定の距離を走るトレーニングです。 たとえば、サブ4を目指す方であれば、1kmあたり5分41秒のペースで10〜15km程度を走ります。
このトレーニングの目的は、目標ペースを身体に覚え込ませ、そのペースで走ることが「快適」だと感じられるようにすることです。 それにより、身体が目標ペースでの動きに慣れることで、レース本番でも無駄な力みなくリラックスしてペースを刻むことができます。いわゆる「体内時計」を正確にする作業であり、ペースの安定化に重要です。
LSDがマラソンを走りきるための「体力」を養うトレーニングだとすれば、ペース走はその体力を最適に使う「ペース感覚」を磨くトレーニングといえます。 両者をバランス良くトレーニングメニューに組み込むことが、安定したペース維持につながります。
マラソン後半のペースダウンに対するミズノの技術による解決策
多くのランナーが直面する最大の課題は、レース後半、特に30km以降の急激なペースダウンです。 どれだけ入念にトレーニングを積み、ペース戦略を立てても、この「30kmの壁」に阻まれて目標を達成できなかった経験を持つ方は少なくありません。
この課題の根本原因と、それを克服するためのミズノの技術、特にランニングシューズが果たす役割について解説します。
後半にペースが落ちる理由は、疲労蓄積とエネルギーロス
レース後半にペースが落ちる主な原因は、数万回にも及ぶ着地の衝撃がもたらす筋疲労の蓄積と、それに伴うエネルギー効率の低下です。 着地のたびに脚の筋肉は衝撃を吸収するために収縮し、これが繰り返されることで徐々にダメージが蓄積します。
疲労が溜まるとランニングフォームが崩れ、一歩ごとのエネルギーロスが大きくなり、同じペースを維持するためにより多くのエネルギーが必要になるという悪循環に陥ります。このエネルギーの非効率な消費が、終盤での失速を招くのです。
ミズノの技術が支える安定したペース維持
この「疲労蓄積」と「エネルギーロス」という課題に対し、近年のランニングシューズの技術開発は、この課題の解決を目指しています。 ミズノが長年の研究と知見をもとに開発した高反発ソール素材『ミズノエナジー(MIZUNO ENERZY)』は、まさにこの課題に応えるために設計されたテクノロジーです。
この『ミズノエナジー(MIZUNO ENERZY)』は、相反する二つの特性を高いレベルで両立させています。
●柔らかさ
優れた柔らかさにより着地時の衝撃を緩和し、脚部の筋肉にかかる負担をサポートします。これにより、レース終盤まで脚のコンディションを保つことに貢献します。
●高い反発性
接地時のエネルギーを、効率的な反発力への変換を追求した設計となっています。このエネルギーリターンが、次の一歩への推進力をアシストし、ランニング全体のエネルギー効率を高めることに貢献します。
『ミズノエナジー(MIZUNO ENERZY)』を搭載したシューズは、レース後半のペースダウンの主な原因である衝撃による疲労とエネルギーロスに配慮した設計により、ランナーが最後まで安定したペースを維持できるようサポートする役割を担います。

高反発ソール素材
[ ミズノエナジー ]
「反発性」に関する知見を結集した新素材。
柔らかさによって溜めた接地時のエネルギーを
少ないロスで反発させる。
高反発(エナジーリターン)
×
低剛性(柔らかさ)
MIZUNO ENERZYが、
アスリートの新たな可能性を
切り拓く。
設計などにより、効果や感じ方が異なります。
※1 各ベースポリマーにおける既存素材との比較
ランナーの目標に応えるミズノのランニングシューズの選び方
ランナーのレベルや目標によって、シューズに求める機能は異なります。ミズノは、それぞれのニーズに応えるラインナップを用意しています。
●完走を目指すランナーへ
初めてのフルマラソンや、まずは確実に完走することを目標とする方には、クッション性と安定性を重視したモデルが適しています。
『ウエーブライダー(WAVE RIDER)』シリーズなどは、『ミズノエナジー(MIZUNO ENERZY)』による衝撃吸収サポートで、長距離でも快適な走り心地を提供します。また、幅広のワイドモデルも用意されており、ゴールまでランナーをサポートします。
完走を目指すランナーへ
自己記録更新を目指すランナーへ
レース当日に向けたマラソンペース最終調整
レース本番でトレーニングの成果を最大限に発揮するためには、レース直前期の調整が極めて重要です。 疲労を適切に抜き、身体をベストな状態に仕上げるための「テーパリング」と、レース当日の心構えについて解説します。
疲労を抜き、最高の状態で臨む「テーパリング」
テーパリングとは、レースに向けてトレーニングの量を意図的に減らし、身体に蓄積した疲労の回復を目的とした調整期間のことです。十分なトレーニングを積んだランナーほど、この期間を設けることで、レース当日の高いパフォーマンスにつながります。
テーパリングで最も重要な原則は、「走行距離は減らすが、トレーニングの強度は維持する」ことです。体力を落とさずに疲労だけを抜くため、ペース走やインターバル走などのポイント練習は、本数を減らして継続します。
テーパリングの基本的なスケジュール例
• 3週間前: 週間の総走行距離を、ピーク時から20〜30%削減します。
• 2週間前: 総走行距離をピーク時の40〜50%まで減らします。レース前最後のロング走はこの時期に行うのが一般的です。
• レース1週間前: 走行距離をさらに減らし、短い距離のジョギングや、レースペースでの短い刺激走などを中心に、身体のキレを維持します。
練習量を減らすことに不安を感じるかもしれませんが、これはトレーニングの最終段階であり、回復こそが最も重要な練習であると理解しましょう。
レース当日のペースマネジメント
• スタート直後: 大会の高揚感から、スタート直後はアドレナリンでペースが上がりやすくなります。ここで周囲に流されず、意識的に設定ペースを守ることが、後半の失速を防ぐ上で最も重要です。最初の1kmは少し遅いくらいでよい、と心に決めておきましょう。
• レース中の確認: ランニングウォッチでペースを確認する際は、1kmごとに一喜一憂するのではなく、5kmごとのラップタイムで判断するのが冷静なペース管理のコツです。ペース表と照らし合わせ、大きなズレがないかを確認します。
• ペースメーカーの活用: 多くの大規模な大会では、目標タイムごとのペースメーカーが走っています。同じ目標タイムの集団についていくことで、自力でペースを管理する負担が減り、リズムよく走り続けることができます。
まとめ:ペース管理を制する者がマラソンを制する
マラソンにおけるペース管理は、単に速く走る技術ではなく、自身の身体を理解し、エネルギーを戦略的に配分する総合的なマネジメント能力です。
成功のためには、自身の走力を把握し適切なペースを算出する「知識」、LSDとペース走で体を作り上げる「準備」、そして冷静な戦略とベストなコンディションでレースに臨む「実行」という3つの要素が重要です。
そして、このプロセス全体を支える重要な要素がランニングシューズです。 特にレース後半の厳しい局面において、優れたシューズは衝撃への配慮とエネルギー効率を追求した設計により、ランナーが積み上げてきた努力を結果へと結びつけるための力強いパートナーとなります。
本記事で解説した知識と戦略を参考に、ご自身の目標達成に向けた準備を進めてください。 ミズノは、すべてのランナーが優れたパフォーマンスを発揮し、充実感とともにフィニッシュラインを駆け抜けることを応援しています。

