ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦
50代になってもフルマラソンでサブ3の走力を維持し、17年連続で出し続けているランナーがいる。大分県在住の伊東忠彦さんだ。

今年も、2月の別府大分毎日マラソンを2時間56分45秒で走ると、3月の「さが桜マラソン」では50代でのベストタイムとなる2時間55分32秒をマークした。


伊東さんはもともと高校時代に陸上競技部に所属していたが、働き始めてからは走ることから遠ざかっていた。

そんななか、第1回の東京マラソンにて多くのランナーが駆け抜ける様子に伊東さんの心が動いた。

「長い人生のなかで、1回ぐらいはフルマラソンを走ってみたいと思いました」

 こうして伊東さんのランニングライフが再開した。
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦

最初は20分も走れなかったが…

 高校時代に陸上部だったとはいえ、「最初の頃は20分も走ることができませんでした」。そこで、まずは仕事が終わってから10〜20分ジョグすることから始めた。

走る回数を重ねるうちに、だんだんと長い時間を走れるようになり、平日は出勤前に30分、帰宅後に60分ジョグを行うようになった。すると、自然に体重が落ちて、体が絞れていった。

 しかしながら、当時は子どもがまだ幼かったこともあり、ランニングにばかりに時間を費やすわけにはいかなかった。そこで「もう少し時間を有効に使おうと」、会社までの片道7.5kmの通勤ランを始めた。

 そして、走り始めて1年足らずで初マラソンに挑戦し、3時間4分23秒で走り切った。

「初マラソンで30km以降の壁に直面し苦しい思いをしたんですけど、時間が経つにつれて、『せっかくなら3時間を切りたいな』という意識になりました」

 さらに、初マラソンの2年後の2009年12月には、マラソン4レース目にして見事サブ3を成し遂げた。

マラソンの自己ベストは、2014年4月の「さが桜マラソン」でマークした2時間48分52秒。また、2025年の現在までに26回のサブ3を果たしている(ペースメーカーとして出場したレースは含まず)。
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦

ジョグは野球選手の素振りのようなもの

伊東さんの練習はジョグトレーニングが中心。それは社会人になって走り始めた時から現在に至るまで一貫している。「スピード練習は全くやっていない」というが、それでもサブ3の走力を維持し続けている。

伊東さんにとってジョグとは“反復基礎練習”。

「プロ野球選手でも素振りを1日に何百回、何千回とやりますよね。それと同じような考え方ですね」


基本的に練習は一人で行う。月間走行距離は450km前後で、仕事で宿直業務の日は休養日に充てている。

ポイント練習(強度の高い練習)は、秋冬のレースシーズンに河川敷コースで15〜25kmのペース走を行う程度で、決して追い込みすぎることはない。夏場はペース走の代わりに3時間ジョグを実施している。

「フルマラソンを3時間で走るんだから、3時間体を動かし続ける練習をしたほうが良いのかなと考えていて、夏場の週末に準高地に行ったり、木陰などのある涼しいコースを選んだりして、実施しています。これは結構効果がありました」

また、インターバルトレーニングは実施せず、スピードを出して走るのは、普段のジョグでラスト1kmをペースアップするくらい。それも「全力疾走まではいかず、7〜8割ぐらいまで」だという。

スピードを確認するために時々5000mのトラックレースに出場しているが、ジョグが練習の中心でも、5000mも高校時代と同程度のタイムで走ることができているという。
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦

目的を意識して走る

伊東さんのジョグのマイルールは「ただのジョグはするな!目的を考えて走る」ということ。

「今日はこういうジョグをしようと考えてジョグをしています」

例えば、リカバリージョグの時はリラックスして走ることを意識し、レース前であれば、ある程度スピードを保ちつつ距離を短くしている。

 また、ジョグの時にはフォームチェックを欠かさない。

「よく言われることですが、操り人形のように頭の上に糸があって吊るされているようなイメージで走ると、腰の位置が高くなります。腕振りは、前や横に振るのではなく、後ろに引く。ようは肩甲骨を意識します。肩甲骨を使えれば股関節も自然と周り、脚が前に出ます。胸を張ると自然に空気を吸えるし。いろんな動きが連携しているんですよね。実際にきれいなフォームで走れているのか、商店のショーウィンドウに映る自分のランニングフォームを見て、細かくチェックしています」

 このようにジョグを重ねてランニングフォームを築いてきた。

 伊東さんがジョグを大事にしているのは、“腹八分目の練習”という考えがあるからだ。これは、ミズノランニングクラブで監督をしていた福澤潔氏の教えによる。

「30km⾛やスピード練習といった強度の⾼い練習をするより、コンスタントに15〜25kmの距離を⾛ったほうがいい。長い目で見るとケガのリスクも小さいし、確実に強くなれる。この教えのもと、今もそういった練習を心掛けています」
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦

体の声に耳を傾ける

 普段から体の声に耳を傾けて、体調に合わせてペースを上げ下げして負荷をコントロールし、痛みがある時には練習量を減らし、痛みが出ない範囲の質・量で走る。

 またジョグ用のシューズは基本的にはクッション性に優れたシューズを選ぶが、その日の気分や体調に応じて、ミズノネオビスタ、ウエーブライダー、ウエーブスカイといったシューズを履き分けている。

「ミズノのシューズはどれも安定感がありますね。その上で、クッション性に優れたウエーブライダー、ウエーブスカイは気持ちよくジョグができます。ミズノネオビスタはプレートの反発性を感じられるので、快調に走りたい時に履きます。キロ4分ぐらいまでは上げられますね」

もちろん練習後の体のケアもおろそかにすることはない。加えて、“おんせん県おおいた”在住だけに、練習後には源泉掛け流しの天然温泉で疲れを癒している。

「ランニングを継続するために最も重要なのは“故障しないこと”だと思っています。これはトップ選手も市民ランナーも同じことだと思います」

 故障がなく練習の継続ができていることが、伊東さんが年齢を重ねてもパフォーマンスを維持できている所以なのだろう。
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦
ジョグだけでサブ3を達成 ミズノランニングクラブ / 伊東 忠彦