AHEAD MIZUNO RUNNING MAGAZINE 03

SUSTAIN YOUR ENERGY

夏季でもランニングパフォーマンスを
落とさないためのトレーニングを伝授!
秋のレースに備えるには夏も重要なトレーニングシーズンとなる。しかしながら高温多湿の日本の夏に無理をするのは、長期に渡り体調を崩す危険性もあるし、台風や大雨の際には数日間ランニングを休まなければならない。そんなときに有効なのが夏季においても走力をキープするためのトレーニング。ランニングコーチとして著名な大角重人氏に長距離を走らなくても走力をキープ&アップできるトレーニングを、ランニング初心者からサブ3ランナーまで、それぞれのレベル別にいくつか伝授してもらった。

ランニング初心者を含むすべてのレベルのランナー向け


プランク
難しい動きを必要とせず、安定したランニングフォームに不可欠な体幹を鍛えることができるトレーニング。ベーシックだからこそ、手の位置や身体の角度などを間違えると効果が半減するので要注意。

1. 肩の真下に両手を置く。
2. 足は骨盤の幅で、ひざを伸ばす。
3. お尻とお腹にしっかりと力を入れ、胸を張り、頭からお尻、踵までが一直線になるように。
4. まずは30秒キープを目指し、徐々に時間を延長。キツイ場合は膝を地面に着けてもOK。
5. 膝を前に曲げたり、片手を上げたりすることで、あえて不安定な状況を作り出したり、手のひらではなく肘を地面に着けることで、より負荷を上げることができる。

注意すべき点
頭から踵までが一直線になるように。お尻の位置が下がったり、上がり過ぎたりしないようにすること。フォームが安定するまでは鏡で確認しながら行うのもよい。
ヒップヒンジ
シンプルな動きで脚力をキープし、ランニングフォームの維持と改善にも効果的なトレーニング。狭い場所でも行うことが可能。

1. 足の位置は肩幅、骨盤の幅で。
2. 股関節を意識するために、脚の付け根に添える。
3. 骨盤を後ろにスライドさせるようにお辞儀をしていくイメージで、お尻を後ろに突き出す。その際に膝が少し曲がる。
4. 両足、足裏で地面を押して、元の位置に一直線に戻す。まずは10回を行う。
5. 両足で完璧にできるようになったら、片足のバージョンにもトライ。こちらのほうが負荷は高くなり、よりランニングにマッチ。ランニングフォームの改善にも効果的。

注意すべき点
膝が前に出ないように。また腰が反らないように。頭からお尻までが一直線になることを意識する。フォームが安定するまでは鏡で確認しながら行うのもよい。

サブ4ランナー向け


リバースランジ&フロントランジ
臀部や腿裏、体幹の強化に効果的なトレーニングがランジ。大別するとリバースランジとフロントランジがあり、リバースランジのほうが容易で、最初はこちらから始めたほうがよい。リバースランジを習得したら、より負荷の高いフロントランジにもトライしよう。

リバースランジ
1. 足は骨盤の幅で自然の状態で立つ。
2. 片方の足を後ろに大きく引いて、上半身を下方向に真っすぐに下す。
3. 前足側のお尻の筋肉を使って元の位置に戻る。
4. まずは片方10回ずつ行い、慣れてきたら回数を徐々に増やす。

フロントランジ
1.足は骨盤の幅で自然の状態で立つ。
2. リバースランジとは逆に片方の足を前方に出して、上半身を下方向に真っすぐに下す。
3. 前足側の足裏で地面を押して元の位置に戻る。
4. まずは片方10回ずつ行い、慣れてきたら回数を徐々に増やす。

注意すべき点
リバースランジ、フロントランジともに上半身が前に倒れたり、後ろに反ったり、左右にグラついたりしないように。また、膝がつま先よりも前に出ないようにすること。

サブ3ランナー向け


ジャンピングランジ
リバースランジやフロントランジをマスターしたランナーや、サブ3を目指すランナーに最適な体幹や股関節周りの強化に最適なトレーニング。屋内で行うことができるエクササイズとしては、筋力強化の効果がかなり高い。

1. 足を前後に軽く開いた位置からスタート
2.左右の足を素早く前後に入れ替える。
3.3回に1回大きく足を開き、上半身を下方向に真っすぐに下す。
4.まずは10回行い、慣れてきたら足の動きのスピードをアップさせる。

注意すべき点
上半身を下方向に下す際に、身体が前に倒れたり、左右にグラついたりしないように体幹を意識すること。また、膝がつま先よりも前に出ないようにすること。

「上下動を避けたいランニングにはスクワットよりもヒップヒンジのほうが向いていると思います!」


南井
ほぼ毎日6㎞を走っていますが、自分自身も台風や大雨の際など、外で走ることができない日はプランクやスクワットを行っています。そのほうが、何も補助運動をしなかった時よりも、再び走るときに脚力の低下が明らかに少ないですね。今回はスクワットではなくヒップヒンジを紹介していただきましたが、その理由は何でしょうか?

大角
ランニングという運動は平行移動なので、水平方向の筋出力を向上させるには、上下の動きが大きなスクワットよりもヒップヒンジのほうが効率的だと思います。

南井
なるほど。今日、大角さんの説明を聞いていてもヒップヒンジのほうがスクワットよりも動きがシンプルで、注意する点も少ないですしね。プランクとかも、これまで自己流で行っていて、このサイトを見て、手の位置が肩の真下になっていないことに気付いた人も少なくないかと思います。

大角
ヒップヒンジはそれほどメジャーではないですが、本当に効率がよいのでオススメです。リバースランジは、前後の動作が少ないので初心者にはピッタリかと。ただしランニングは前方に進む運動なので、ランジというトレーニングのコツを覚えたらフロントランジへとステップアップしてほしいですね。夏は台風や大雨以外にも35℃を超えるような日もあって、走らないほうがいい日もあります。そんな日は今回紹介したトレーニングを行って、脚力をキープしてもらえたらと思います。あと、これらトレーニングは走れなかった日だけでなく、走った日にも行うことで、走力アップが期待できると思いますので、今回をきっかけにぜひとも日課としてほしいですね。
南井
あと、自分の周囲のランナーが行っているジャンピングランジは、3回目に身体を下すのではなく、1回1回連続して身体を下すタイプが主流になっていて、トライしたものの上手くできずに「あれは自分にはできない…」と言って、諦めるランナーも少なくなかったんですが、今回のジャンピングランジはだいぶハードルが下がった気がします。

大角
今回、久しぶりにジャンピングランジを行ってみて、短い時間で汗びっしょりになったくらい負荷の高い運動でしたが、履いていたウエーブシャドウ4は安定性も高くて、足がぐらつくこともなかったですね。そのほかにも足裏全体で地面を押すような動きにもしっかりと対応してくれました。フィット感も高いですし。ランニングシューズとしてはこれまでのウエーブシャドウよりもソールユニットの柔軟性を感じ、かかととつま先の高低差が少ない低ドロップなので自然と中足部着地を促し、新素材のMIZUNO ENERZYは反発性が高く、スムーズな前足部での蹴りだしも提供してくれます。自分はKm/4分ほどのペースで走ることが多いですが、それくらいのペースにも充分対応してくれますし、もっとゆっくりのペースで走るランナーが履いても満足できる汎用性の高い1足だと思います。

大角重人
ランニング・フィジカルコーチ
滋賀県出身
早稲田大学卒、スターツ陸上部コーチ、SWACヘッドコーチを経て現在はプロランニングコーチとして活動中。エリート選手や市民ランナー、また芸能人など幅広いレベルのランナーへのコーチングや、子供向けかけっこ教室など、多くの指導実績を持つ。

主な実績
2001年箱根駅伝 第6区出場
ベストタイム
フルマラソン 2時間43分45秒
ハーフマラソン 1時間04分39秒

Instagram @sgtsm