『憧れ』の気持ちが投球に対する思考を変え、一流投手への道を切りひらいた

野球選手
高橋 礼 Rei Takahashi (福岡ソフトバンクホークス)

プロ野球への『憧れ』が、ピッチング
スタイルを変えさせた

福岡ソフトバンクホークスで投手として活躍する高橋礼選手。地を這うようなアンダースローで2019年シーズンは新人王に輝き、野球日本代表の一員としても見事な投球を披露して活躍しました。そんな高橋選手も大学3年の時に、高い壁が立ちはだかりました。
「大学2年の時に初めて野球日本代表に選ばれたのですが、大学3年になってからプロに入るまではなかなか結果が伴わず、苦しい時期でしたね。大学3年から野球部のエースとして投げさせてもらっていましたが、今思えば当時は全球が全力の勝負球という感じで余裕なくひたすらバッター相手に投げていました。今思えば一人相撲だったのですが、当時は自分がどうにかしないとチームは勝てないと思い込んでいたんです」
そんな結果が伴わないという高い壁を乗り越えたきっかけが、実は『プロ野球選手になったこと』でした。
「プロでの練習が始まると、すぐに『今の自分の能力だけでは打者を打ち取れない』と痛感したんです。その結果、ゴロを打たせることで野手やチームの力を借りて打ち取ろうと考えるようになり、肩の力を抜いて楽に投げられるようになった。自分が納得するボールよりも、バッターが嫌なボールを投げようと取り組みはじめたのもこの頃からですね」
自身を一流投手に導く“思考の変化”をもたらした原動力、それは『憧れ』でした。
「子どもの頃、プロ野球選手に対する憧れがありました。特に、活躍して多くの人が名前や顔を知っていて、子どもたちに影響を与えるような一流選手に強く憧れていたんです。『自分自身が憧れていたようなプロ野球選手になりたい』という想いが原動力になっていますね」

先発として、常に安定して試合を作れる投手をめざす

アンダースローに加えてテンポの良さが高橋選手のピッチングの特徴。ただ、オフタイムはちょっと様子が違うようです。
「試合が終わると、その日のゲームのことも含めて野球のことはほとんど考えません。試合中は意識して投球テンポを上げていますが、オフタイムは本当にテンポが遅くて遅刻するのが当たり前なぐらい(笑)。オフの時間はダラダラとゆるりと過ごす、それが自分なりのリラックス法なんです」
切り替え上手な高橋投手がめざすのは『調子の波が少なく、常に試合が作れる投手』だといいます。
「2019年シーズンは規定投球回数に到達できましたが、これを何年続けられるかが大事。ケガをせずに成績を安定させ、立ち上がりの調子が悪くても回を追うごとに調子を上げ、コンスタントに試合を作れる投手をめざしています」
もちろん野球日本代表としての目標も。
「日本のトップ選手が集まるチームでプレーするのは楽しいですし、勝つと本当に気持ち良いんですよ。もっと多くの皆さんに名前を知っていただけるように、チームでも日本代表でも活躍したいですね」

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グラブ

投球動作において重要な存在

「素手に近い感じでボールを掴める感覚にこだわっています」と語る高橋選手。ただ、投球動作中のグラブには、ボールを掴む以上の重要な役割があるのだとか。ワインドアップ中に球種を隠す役割に始まり、グラブの重さを利用して身体を沈めたり、身体やボールを持つ腕とのバランスを取るなど、すべての投球動作がグラブと連動する形で構成されているそう。その重要性は、グラブをはめていないと本来の投球動作ができないほどだといいます。