メンバー間の『シナジー』が、妥協なきデザインを創造した

2022年に開催される北京大会において、ミズノはさまざまな競技にレーシングスーツやトレーニングウエア、ゲームウエアなどのウエア類を提供しています。これらのデザインコンセプトは、勝利への強い想い、熱い応援の想いなどが重なりあうことで生み出されたシナジー(相乗効果)が、選手たちの勇敢で大胆な躍動につながることを表現するべく『シナジー』と定めました。今回は、このデザインコンセプトを生み出したマーケティング担当の井口礼菜、アパレル企画担当の青木譲、アパレルデザイン担当の田部祥平に話を聞きました。

コンセプト先行型のデザイン開発に取り組む

――どんな流れで『シナジー』というコンセプトが決まったのでしょうか。

井口 : これまでは、先にアパレル企画から出たデザインを見て、マーケティングチームがどう伝えるかを考えるという「ものづくりありき」の手法で取り組んできました。しかし今回は、まずアパレル企画とマーケティング、デザインの各チームメンバーが集まって伝えたいことを議論し、「コンセプトありき」の手法で進める形を取りました。最初は今のデザインテーマとなっている『静と動』だったのですが、もっとイメージが伝わりやすい言葉を探る中で『シナジー(相乗効果)』をコンセプトとして選びました。

田部 : 冬季競技のイメージやミズノが伝えたいことなどを議論していました。その中で『静』と『動』という相反するものが合わさることで大きなエネルギーが生まれる瞬間をニュートラルに表現したいという想いがありました。

青木 : ものづくりから入るよりもコンセプトから入ることが大切。冬季競技の『静寂』と『飛翔』というテーマから、いろいろと議論を重ねて『シナジー』というキーワードに辿り着きました。

――『シナジー』をどうデザインに落とし込んでいったのでしょうか。

田部 : 日本の伝統や選手たちがこのウエアを着るシチュエーション、冬季競技の選手たちの心境などをカラーやロゴデザイン、ディテールのデザインに『シナジー』が意味するものを反映させようと考えました。日本代表が着るウエアですから、パフォーマンスを最大限に発揮してもらうための機能性はもちろん、着るだけで気持ちが昂るデザインをめざしてグラフィックの大胆さにこだわりました

青木 : 田部さんの想いが詰まったデザインデータがとても複雑で(笑)。時には、ユニフォームの基調色がなかなか決まらなかったり、決まっても色出しの再現性が低くて苦労したりもしました。デザインデータの色を生地で再現するのが本当に難しく、これだけで1年近くかかったのも今では良い思い出です。

田部 : 確かに最初の頃は、生地の素材感が前に出て複雑で細かい柄が見えにくくなってしまい、全然イメージ通りじゃなくて悩みました。でも青木さんや現場の方がサポートしてくださったので、最後は素晴らしい仕上がりになりました。

井口 : サンプルが上がってきた時に私も確認するのですが、私が「あ、いいじゃないですか!」と言うと、青木さんが「いや、これはボツです」って。アパレル企画の部屋に今まで作った歴代サンプルがズラッと掛かっているのですが、並べて見ても本当に微妙な違いなんです。

「これでいい」じゃなく「これがいい」を追求

――このウエアのプロジェクトの中で、皆さんがお互いに『相乗効果』を感じたところを教えていただければ。

井口 : 軸となる部分は話し合って決めたのですが、そこから先は私は伝える役割、お二人はものづくりの役割と、異なる役割を担いました。私は議論の中で感じていたお二人の強い想いや熱量をいかにお客さまに伝えるか、広めていくかを常に考えながら取り組みました。確実に私の業務の力になっていたので、素晴らしい相乗効果が生まれていたと思います。

田部 : 3人で意思疎通しながら「これでいいか」ではなく、「これがいい」と思うところまで表現したいという想いを共有しながら取り組んできました。みんなの想いが相乗効果となって良いものが生まれたんじゃないかな、と思います。

青木 : 私はものづくりの側なので、自分たちの想いをいかにものに落とし込んで表現するかを一番大切にしていました。そこは私たちの想いと開発、生産に携わってくれた皆の想いが相乗効果を発揮して、良いものができたと思います。

井口 : 青木さん・田部さんの 「これでいい」じゃなくて「これがいい」というのはすごくわかります。妥協せずにこだわる姿を見て、私も「これがいい」と思えるアウトプットをきちんとしようと意識していました。

――今回のプロジェクトを通じて得たことや今後の仕事の目標について教えてください。

青木 : 現場の協力やサポートなしにものづくりはできないと改めて実感しました。この想いや経験を今後の企画や商品にしっかりと生かしていきます。

田部 : デザインは自分の仕事を多くの人に見ていただけるポジションだと思うので、今後はより多くの人にミズノというブランドを知ってもらい、手に取ってもらえるきっかけになるデザインを生み出せるよう、皆さんとシナジーを発揮しあいながらがんばりたいですね。

井口 : 一緒に仕事をする仲間と想いをしっかり共有した上で進めていける人間になりたいです。また、ミズノだからできること、ミズノだからやるべきことを選手やお客さまにしっかりと伝えていきたいと思います。

REACH BEYOND DESIGN

シナジーデザイン

『静と動』を大胆かつ繊細に表現

シナジーデザインは『静と動』をテーマとしたグラフィックとカラーで表現されています。
グラフィックのメインとなっている重なり合う大胆なラインは、筆文字のかすれ部分にデジタル感のあるドット柄を使用することで、日本の古き良き伝統と最新のデジタル技術が融合した新たな時代を表現しています。また、選手やこれまで関わってきた人の想い、個性を様々な線で表現し、さらに「矢絣(やがすり)」や「七宝」といった繊細な和柄を用いて、強い想いや人と人のつながりを表現しています。
また、カラーは凜とした神聖さを表す白、集中を表す黒、燃える気持ちを表す赤を基調に、頂点に賭ける想いを表すゴールドが配色されています。
「語らないとわからないような細かいところでもシナジーを表現しています」と、デザイン担当の田部さん。