速さだけじゃなく人間的成長も めざした練習こそが、結果に結びつく

女子100m平泳ぎと女子50m平泳ぎの日本記録保持者で、2022年のジャパン・オープンでは女子100m平泳ぎで優勝するなど、日本女子平泳ぎを牽引する青木玲緒樹(れおな)選手。さらなる活躍が期待される青木選手に、競泳の、そして平泳ぎの「CRAZY LOVE」な話をうかがいました。

得意だからこそ勝負する、挑戦し続ける

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競泳、その中でも専門とされている平泳ぎの魅力はなんでしょうか?

個人メドレーで泳ぐ4つの泳ぎ方の中でタイムが一番遅くなる平泳ぎは、最も水の抵抗を受ける泳ぎ方と言われています。いかに抵抗を少なく、そして効率良く泳ぐかを考えるのが面白いんです。あと、平泳ぎって選手ごとにフォームが全然違っていて、たぶんクロールや背泳、バタフライと比べても一番選手ごとに違うんじゃないかな。プル(手のかき)が得意とか、キックが得意とか、選手ごとに強みも違いますし。しかも動きが特殊な分、上手にフォームを詰めていけばタイムが上がりやすい種目です。タイムが上がっていくと楽しくなるし、そこは平泳ぎの魅力のひとつだと思います。

競技に向き合う中で、想像を絶する辛さや厳しさを感じると思います。それでも競技を継続する原動力は何ですか?

自分が一番得意な競泳だからこそ、そこで勝負し続ける、挑戦し続ける気持ちかな。あとは会社の皆さんや一緒に練習する仲間、応援してくれる方々がいること。なぜか私の周囲には素晴らしい人がたくさんいて、そうした方々が支えくれたから競泳を続けてこられたんですよ。たぶんひとりだったら、とっくに辞めていましたね。

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競技人生の中で、最も心が揺さぶられた瞬間を教えてください。

2022年に行われた国際大会代表選考会の50m、100mで日本新記録を出した時ですね。あとは2019年に一度日本代表から外れて、そこから追加選考で代表権を獲得できた時も、かなりグッときました。当時は気持ちの浮き沈みが激しくて、本当に吹っ切れたのは試合直前2週間前ぐらい。そこまで直前になって、ようやく自分で覚悟を持てたというか、気持ちが吹っ切れて。「こんな気持ちじゃ勝てるものも勝てない」と思えた時に、一段強くなれたと思います。

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夢や目標がある限り、ずっと競泳は「CRAZY LOVE」な存在

人々がスポーツに魅了されるのはなぜだと思いますか?

競技を通じて、今この瞬間までの過程やストーリーが見えるから人々は感動すると思います。あと、スポーツは自分自身の体で表現するものなので、そこも大きいですよね。特に競泳は自分自身の体だけで勝負しますし、コースロープがあって他人と接触することがないので平和ですしね(笑)

格闘技のような接触しての対決は苦手なんですね。

一対一で対決はキツいかなぁ(笑)。ただ、競泳にも同着だった選手だけが、もう一度一緒に泳いで勝敗を明らかにするスイムオフという直接対決のルールがあるんです。一度スイムオフになりかけた時があって、しかも同じ大学の同期の選手で…。結果的にまだ体験したことはないですが、あの時の心境を思い出したら、私めちゃくちゃスイムオフ苦手です(笑)

競泳への愛が感じられるエピソードがあればぜひ教えてください。

今はちゃんと休むこともトレーニングのひとつなので休むんですが、少し前までは3日以上泳がないと不安になって、こっそり泳いだりしていました。プライベートでオーストラリアのケアンズにいる友達に会いに行った時も、現地のプールで泳ぎました。ちょうど一般市民に開放されている時で、一般の人に交ざって泳いでいましたね。もちろん軽く泳ぐ程度ですが。

これからも青木選手にとって競泳が「CRAZY LOVE」な存在であり続けるためにどうしていきたいですか。

目標や夢を持ち続けることでしょうか。あと、競泳を通して自分がどう成長していけるのか、自分自身も楽しみです。速く泳げるように必死で練習するだけじゃダメで、考え方を含めて人間的に成長していかないと、練習が結果につながらないことを経験しました。だからこそ、「自分自身を人間的に成長させるための競泳」と考えて向き合っていきたいです。