マットレスの選び方【専門家が解説】硬さや寝返りのしやすさなど目的別に合う種類や素材

マットレスの選び方【専門家が解説】硬さや寝返りのしやすさなど目的別に合う種類や素材

毎日の睡眠の質を左右するのが、私たちが毎日使用するマットレスや枕などの寝具です。
しかし、マットレスの種類は多く、自分に合うものを選ぶのは難しいもの。体型は一人ひとり異なり、適切なサイズや硬さも千差万別だからです。

この記事では、睡眠の専門家がマットレスの選び方のポイントを解説。さらに、目的別に適したマットレスの種類や素材について詳しく解説していきます。

マットレスの選び方のポイント5つ

  • 硬さ|体を支える機能
  • 反発力|寝返りや安定感に影響する
  • フィット感 |違和感がない状態を目指す
  • サイズ|のびのびと寝返りを打てるかどうか
  • お手入れのしやすさ|通気性&洗えるかどうか
上級睡眠改善インストラクター 安達直美さん

監修

上級睡眠改善インストラクター 安達直美さん

株式会社エスアンドエーアソシエーツ取締役副社長、大阪公立大学健康科学イノベーションセンター特別研究員。航空会社で国際線客室乗務員として勤務後、寝装品メーカーの研究所で主任研究員として睡眠に関わる研究に従事。睡眠文化戦略コーディネーターを経て現職。新規事業のコンサルティング、寝具の開発や調査研究、眠りに関する講演、雑誌・Web・TVへの出演など幅広く活躍する。

マットレスの選び方のポイントは大きく5つ

マットレスを選ぶポイントは大きく5つ

マットレスを選ぶ際に欠かせないポイントは5つあります。

マットレスの選び方のポイント

  • 硬さ
  • 反発力
  • フィット感
  • サイズ
  • お手入れのしやすさ

それぞれのポイントが睡眠の質や快適さに大きく影響するので、自分のニーズに合わせて優先順位を決めることが大切です。

  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • 質の高い睡眠をとるために重要なのは、「深い眠りが得られる」ことではなく、「浅い睡眠で何度も起きない」ことです。

    浅い睡眠ではちょっとした刺激でも目が覚めやすくなるため、寝具が体に合っていないと肩や腰への負担で目が覚めてしまい、睡眠の質が低下してしまうこともあります。

    そこで大切なのが、浅い眠りを妨げないために違和感のない寝具を選ぶことです

ポイント1. 硬さ|体を支える機能は硬さに依存する

  • 硬すぎる寝具
  • 柔らかすぎる寝具
マットレスの硬さは、負担なく体を支えるための大事なポイントです。

一般的に硬すぎるマットレスは体の一部に負担がかかり必要以上に寝返りを増やす傾向にあり、柔らかすぎるマットレスは体をバランス良く支えられず、寝返りが打ちづらい傾向があります。

適度な体圧分散性で体の負担を軽減し、寝返りを打ちやすくする「ほど良い硬さのマットレス」を選びましょう。

体圧分散性とは

体圧分散性
体圧分散性とは、体重を均等に分散させる能力を指します。
体圧分散性の高い状態は、寝ている際に体全体で体重を均等に受け止めていることを意味します。逆に体圧分散性の低い状態は、体重が体の一部に集中している状態を指します。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • マットレスを選ぶとき、多くの人が硬さにとらわれがちですが、大切なのは「違和感がない」かどうかです。

    違和感がない状態とは、腰や肩、首などのどこにも負担がかからず、自然な姿勢でいられる状態のこと。つまりこれが適度な体圧分散性がある状態なんです。

    自分に合ったマットレスを選ぶためには、実際に寝転がって確かめることが重要です。そして「気持ちいい」という感覚ではなく「違和感がないか」という点に意識を集中して、ご自身の体に問いかけてみてください。

なぜ寝返りが必要なの?【睡眠コラム】

  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • 寝返りは、体への圧迫を分散し負担を減らすことに役立ちます。人間の体は、長時間同じ体勢を続けていると体の一部に大きな負担がかかります。これは睡眠中も同様なんです。

    また、寝返りは寝床内気候(寝具内の温度や湿度)を調整する役割も担っています。寝返りを打つことで、寝具内の空気を循環させ、快適な温度と湿度を保つことができるのです。

ポイント2. 反発力|弾性の違いが安定感を左右する

寝返りを打ちやすい
マットレスの反発力は、寝返りの打ちやすさや安定感に大きく影響します。反発力の違いでおもに「低反発」と「高反発」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
低反発マットレスと高反発マットレスの比較表
特徴 低反発マットレス 高反発マットレス
硬さ 柔らかい 硬い
反発力 弱い(衝撃を吸収する) 強い(跳ね返す力が強い)
寝心地 柔らかく包み込まれるような感覚
安定感が良い
寝返りが打ちやすい
反発力が高すぎると安定感が悪くなる
体圧分散性 体の形に合わせて圧力を分散 適度に体圧を分散するため、寝返りを妨げにくい
耐久性 へたりやすい へたりにくい
通気性 低い 高い

低反発

低反発マットレスは、反発力が弱いため体重をかけるとゆっくりと沈み込みます。低反発のマットレスで代表的な素材としては低反発ウレタンがあります。
圧力を分散しやすいメリットがある一方、寝返りが打ちづらい、蒸れやすいといったデメリットもあります。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • 低反発ウレタンのマットレスは、温度に敏感な素材のため、暑い時期には柔らかくなりすぎたり、反対に寒い時期には硬くなってしまったりします。水や光に弱いので、取り扱いにも注意が必要です。
    また、通気性が低いため、カビが発生しやすい点にも留意しましょう。

高反発

高反発マットレスは反発力が強く、体重をかけても形状を保ち、押し返す力が強いのが特徴です。体をしっかりと支えてくれるため、寝返りが打ちやすい傾向があります。ただし、反発力が強すぎると、体を押し返す力により、不安定感を覚えることがあります。

高反発マットレスの代表的な素材は高反発ウレタンと高反発ファイバーです。

高反発マットレスは耐久性が高いものが多く、長期間使用できる点も魅力です。これらの特徴により、高反発マットレスは現在、多くの人に選ばれる寝具の一つとなっています。

低反発と高反発のどちらが優れているかは、個人の好みや体型、寝姿勢によっても異なります。
寝返りの多い人や腰痛がある人は高反発マットレス、安定感を重視し柔らかい寝心地を好む人は低反発マットレスなど、目的別に選びましょう。

ポイント3. フィット感|厚さや柔らかさなど違和感がない状態

フィット感のイメージ
マットレスを選ぶ際に見落としがちなのがフィット感です。フィット感がある状態とは、マットレスが自分の体に合っていて違和感がない状態を指します。

フィット感のあるマットレスは、まさに自分自身に合っていると確信できる違和感のない寝心地を得られます。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • 注意してほしいのは「フィット感がある=気持ちいい」ではない点です。

    マットレスを試して「柔らかくて気持ちいい」と感じ購入してしまう方が多いのですが、これは大きな間違いです。柔らかすぎるマットレスは、腰が沈み込みすぎるなど体に負担がかかり、腰痛につながることもあります。

    あなたにとって気持ちいいマットレスが、必ずしもあなたの体に適しているとは限らないのです。

    またフィット感は、人それぞれ体型や骨格、筋肉量などが異なるため、個人差が大きい点にも注意しましょう。

フィット感を確かめる方法【睡眠コラム】

  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • マットレスのフィット感を判断するためには、実際に寝具の上で横になれれば一番いいですね。
    このとき、腰や肩、首に違和感がないかをよく確認しましょう。また、ふだんと同じ寝姿勢をとったときに快適かどうかも重要なポイントです。

    特に注目すべきは、寝つくときの姿勢です。これはもっともリラックスできる姿勢といわれており、寝具がこの姿勢にフィットしているか確かめることが大切です。

    自分がどのような姿勢で眠りにつくのかわからない場合は、就寝時の姿勢を意識的にチェックしてみましょう。
    横向きなのか、仰向けなのか、自然な寝姿勢を把握することで、より適切な寝具選びにつながります。

ポイント4. サイズ|のびのびと寝返りを打てるかどうか

マットレスを選ぶ際、硬さや素材だけでなくサイズも重要な要素です。
快適な睡眠を得るには、ただ横になるスペースがあればいいというわけではありません。質の高い睡眠には自由に寝返りができる広さが必要です。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • 私たちは睡眠中、寝返りを打つことで体への圧迫を軽減しています。しかし、窮屈なサイズのマットレスでは、寝返りを十分に打てず、睡眠の質を低下させてしまう可能性があります。

    私たちは、寝ている間も無意識のうちに、自分がどれくらいのスペースで寝ているのかを把握しています。ですから、マットレスのサイズ選びは、心地よい眠りのために非常に重要です。

    最適なマットレスサイズは、大きく寝返りを打っても手足がマットレスからはみ出さない程度の広さです。日本の狭い住宅事情もあり、あまり大きなサイズは選べないのが現実ですが、選び方の基準の一つとして把握しておくと良いでしょう。

ポイント5. お手入れのしやすさ|通気性と洗濯の可否

水洗い可能でお手入れが簡単
マットレスを長く快適に使用するためには、お手入れのしやすさも重要なポイント。特に注目すべきは、通気性の良さと洗濯可能かどうかです。
通気性のいいマットレスは、湿気や汗を効果的に逃がします。また、洗濯可能なマットレスは、清潔に保ちやすく衛生面での利点があります。

以下の表は、おもなマットレスの種類別にお手入れのしやすさを比較したものです。
マットレスの種類別お手入れのしやすさ比較
種類 構造・素材 通気性 洗濯
スプリング バネ 不可
ファイバー ファイバー
ウレタン ウレタン 不可(一部可)
ラテックス ゴム 不可

マットレスの種類別のお手入れ方法【睡眠コラム】

マットレスの具体的なお手入れ方法について、種類別に以下にまとめました。
種類 お手入れ方法
スプリング 風通しの良い場所に置き、定期的に風を通す
ファイバー 水洗いが可能な商品あり。
商品によってお手入れ方法が異なるため、取扱説明書をよく確認することが大切
ウレタン 湿気と熱に弱いため、直射日光を避けて保管。
定期的に風を通し、湿気を逃がす
ラテックス 直射日光や高温多湿を避け、風通しの良い場所に置く。
定期的に風を通し、湿気を逃がす
マットレスの素材によって、適切なお手入れ方法は異なります。それぞれの特徴を把握し、適切な方法で行いましょう。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • マットレスを長持ちさせるためには、こまめなシーツやパッドの洗濯が重要です。

    また、洗濯の際にマットレスの状態をチェックすることで、へたりやカビの発生にいち早く気づくことができます。

    湿気の多い季節には、可能であれば週に一度はマットレスを立てかけて風を通すことを推奨しています。特に日本の高温多湿な環境では、マットレス内部に湿気がこもりやすく、カビの温床になりがちなので注意しましょう。

目的別!おすすめのマットレスの種類と素材

マットレスは大きく分けて4種類!特徴早見表
マットレスには大きく分けて4つの種類があり、それぞれに特徴があります。 ここでは、選び方の5つのポイントに基づいて、目的別のおすすめのマットレスの種類を紹介します。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • マットレスの種類は豊富ですが、重要なのは自分の体型や寝姿勢、好み、体質や睡眠習慣を考慮して選ぶことです。

    一般的な特徴を参考にしつつ、可能であれば実際に試し寝をして、自分に最適なものを見つけることをおすすめします。

目的別!おすすめのマットレスの種類一覧
目的 おすすめのマットレスの種類 選び方の軸ごとの評価 おすすめのマットレスの種類
腰痛や肩こり対策 高反発ファイバー 反発力が強く寝返りしやすい
体圧分散性に優れ、体の負荷を適度に分散させる
スプリングのポケットコイル 硬めで体圧分散性に優れ、寝返りが打ちやすい
高反発ウレタン 体の凹凸に合わせて形状が変化するため、体圧分散性に優れる
体重が重い スプリング(ボンネルコイル、ポケットコイル) 硬めで体重をしっかり支える
複数人で一緒に寝る 高反発ファイバー 音や横揺れがしない
通気性が良く洗濯可能
スプリングのポケットコイル 音や横揺れがしない
通気性が良い
高齢者 高反発ファイバー 寝返りが打ちやすく、通気性が良い
スプリング(ボンネルコイル、ポケットコイル) 適度な硬さと反発力で寝返りが打ちやすい

【腰痛や肩こり】体の負荷を適度に分散させる高反発ファイバー・ポケットコイル・高反発ウレタン

腰痛のイメージ
腰痛や肩こり対策でマットレスを選ぶなら、高反発ファイバー・ポケットコイル・高反発ウレタンの3種類が適しています。

表面は体の曲線に沿ってバランス良くフィットし、体の負荷を分散させる体圧分散性の優れたマットレスが望ましいでしょう。

硬さについては、やや硬めのマットレスが推奨されていますが、表面まで硬く体の凹凸にフィットしないと、かえって負担になる可能性があるため注意が必要です。

高反発ファイバー

腰痛に悩む人に合うマットレスは「高反発ファイバーマットレス」
高反発ファイバーは、 細いポリエステル系の繊維を高密度に詰め込んだ構造をしており、適度な反発力と優れた体圧分散性を兼ね備えた素材です。

ファイバー素材は、3次元的に絡み合った構造をしており、上下左右からの圧力に対して反発します。この特性により、均等に力が分散されます。

高反発ファイバーマットレスは比較的硬めの寝心地ですが、この適度な硬さが背骨のS字カーブの維持をサポートします。

ただし、一般的なファイバー素材であるポリエチレン系はへたりやすい点や、通気性が高いため空気の通り道が寒く感じる場合もあります。

ポケットコイル

ポケットコイルイメージ
体圧分散性に優れた構造として知られるもののひとつが、ポケットコイルです。一つ一つのコイルが独立した袋状の布に包まれており、点で体を支える構造になっています。
体の凹凸に合わせてコイルがそれぞれ独立して沈み込み、体圧を分散し体にフィットしやすいのが特徴です。
寝返りを打ったときに体の動きにも柔軟に対応するため、腰痛に悩む方にとって優れた選択肢の一つといえます。

高反発ウレタン

ウレタンイメージ
マットレスの素材としてメジャーなウレタン素材。そのなかでも高反発ウレタンは、弾力性があり、体をしっかりと支えるのが特徴です。

低反発ウレタンに比べて沈み込みが浅いため、体圧を分散しつつも、適度な反発力で体を支えてくれます。寝返りの回数が多い人、腰痛に悩んでいてしっかりとしたサポートを求める人におすすめです。
腰痛に合うマットレスについては以下の記事で詳しくまとめています。

【体重が重い人に】厚みがあり体をしっかり支えるスプリングのボンネルコイルとポケットコイル

一般的に体が重めの人や体が大きい人には、厚みのある硬めのマットレスが合うとされています。
厚みのある硬めのマットレスが体が大きい人に合う理由
体重を支えられる 硬めのマットレスは体重をしっかりと支え、過度の沈み込みを防ぐ
スムーズな寝返りをサポートする 硬めのマットレスは寝返りを打ちやすく、夜間の体勢変換がスムーズになる
高い耐久性がある 厚みのあるマットレスは、体重による負荷に長期間耐えられるため、へたりにくく長持ちする傾向がある

体が重めの人や体が大きい人には、体をしっかり支えるスプリングのボンネルコイルとポケットコイルがおすすめです。

ボンネルコイル

ボンネルコイルイメージ
ボンネルコイルマットレスは、砂時計のような形をしたコイルが連結されています。体を面で支えることで、体重が重い人でも体が沈み込みすぎず寝返りを打ちやすいのがメリットです。

耐久性はポケットコイルに劣りますが、しっかりとした硬めの寝心地が好みの人には適しています。ただし、コイル同士が連結しているため、寝返りを打つと振動が伝わりやすいという点は注意が必要です。

ポケットコイル

ポケットコイルは、一つ一つのコイルが布製の袋に包まれた構造になっています。
ボンネルコイルマットレスに比べて体圧分散性に優れ、体のラインに沿ってフィットするのが特徴。ポケットコイルが体全体をしっかり支えることで、肩や首への負担を軽減して快適な睡眠を得られます。
スプリングマットレスのなかでも特にポケットコイルマットレスは、耐久性も高く、長く愛用できるマットレスといえるでしょう。

【複数人で寝る】きしみ音や横揺れが少ない高反発ファイバーとポケットコイル

夫婦やパートナー、子どもと並んで寝る場合、きしむ音や横揺れがしやすいマットレスは、お互いの睡眠を妨げ、睡眠不足やストレスにつながる可能性があります。

例えば、スプリングマットレスは、構造上どうしても揺れやすいという特徴があります。寝返りをするたびにスプリングがきしみ、その音が相手に伝わってしまうことも。

もし、誰かと一緒に寝る場合は、振動が伝わりにくい構造のマットレスを選ぶことが大切です。

夫婦や子どもなど複数人で一緒に寝るなら、きしみ音や横揺れが少ない高反発ファイバーとポケットコイルが良いでしょう。

高反発ファイバー

高反発ファイバー
高反発ファイバーは、スプリングマットレスのようにコイルを使用していないため、横揺れが少なくきしみ音も発生しにくいのが特徴です。そのため、パートナーや子どもが寝返りを打った際も振動が伝わりづらく、自身の睡眠を妨げる心配が少ないでしょう。

また、通気性が良いのも特徴で、複数人で寝ても熱がこもりにくいのもポイントです。洗える素材のため、汗かきの方やお子さんには衛生面でメリットがあります。

ポケットコイル

ポケットコイルは各コイルが不織布に包まれているため、コイル同士が摩擦せず振動が伝わりにくい構造です。寝返りを打った際も隣で寝ている人に振動が伝わりづらいため、横揺れやきしみが少なく複数人でも眠りを阻害されにくいでしょう。
ただし、スプリングマットレス全般にいえることですが、構造上どうしても揺れやすい傾向があります。特にコイルの密度が低いものは、揺れを感じやすいので注意しましょう。

【高齢者】寝返りが打ちやすい高反発ファイバーとポケットコイル

高齢者の場合、筋力の衰えにより寝返りの回数が減少する傾向があるため、寝返りがしやすいマットレスが良いでしょう。
例えば、高反発ファイバーやスプリングを使用したマットレス。寝返りが打ちやすく、通気性も確保できるため、高齢者の方にも合うでしょう。

高反発ファイバー

ミズノリフルマットレス 高反発ファイバーマットレス
高反発ファイバーマットレスは、ほどよい硬さと反発力を持つ素材です。通気性に優れ軽量でありながら、反発力が高く寝返りを打ちやすい特徴があります。
通気性が高く、子どもから高齢の人まで幅広い年代にマッチする注目の素材といえるでしょう。

高反発ファイバーマットレスのなかには、それぞれの体の部位に合うように、ゾーンごとに素材を変えて、よりフィット感を高めているマットレスも存在します。このようにゾーンが分かれているタイプは、まるでオーダーメイドのような寝心地を得られるのも特徴的です。
ゾーンごとに素材を変更しているマットレスとして、代表的な商品にミズノがスポーツ科学で開発した MIZUNO SLEEP(ミズノ スリープ)のフィジカルサポートマットレス ReFullがあります。

ポケットコイル

ポケットコイルは、独立したコイルが体のラインに沿って沈み込むことで体圧を分散し、特定部位への負担を軽減します。コイルの高い弾力性により高齢の方でも比較的スムーズに寝返りを打てるのが特徴です。
高齢者用のマットレス選びでも実際に試してみることが重要です。高齢者自身が横になって、違和感がないか、寝返りが打ちやすいかを確認することが、最適なマットレス選びにつながります。
マットレスの種類については以下の記事で詳しくまとめています。

マットレスを選ぶ際の注意点

ここからは、睡眠の専門家のアドバイスを交えながら、マットレスを選ぶ際のおもな注意点を紹介します。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • まず前提として、マットレスは「気持ちよさ」だけで判断しないようにしましょう。

    マットレスに横になったとき、最初の数分間は気持ちよく感じても、長時間寝ていると体に負担がかかり、寝心地が悪くなってしまう場合があります。

    実際に多くの方が、「柔らかさにひかれてマットレスを購入したものの、結局腰が痛くなって使わなくなってしまった」という失敗を経験しています。

    「やや硬いと感じるマットレス」と「やや柔らかいと感じるマットレス」の二択で悩んだ場合は、前者をおすすめしています。

    重要なのは「気持ちよさ」ではなく「違和感のなさ」です。一時的な「気持ちよさ」よりも、長時間寝ていても負担にならない、自然な寝姿勢を保てるマットレスこそが、質の高い睡眠につながります。

ベッドではなく床に敷くなら通気性をアップするアイテムが必要

床置きマットレスのイメージ
マットレスを床に直置きする場合は、湿気対策が重要になります。床とマットレスの間に空間がないと、湿気がこもりやすくなるためです。

そこで、マットレスを床にじか置きする場合には、通気性をアップさせるアイテムを併用しましょう。例えば、すのこベッドや除湿シートなどを使うことで、床とマットレスの間に空間ができ、空気の通り道をつくることができます。

1週間に一回程度、マットレスを立てかけて風を通したり、サーキュレーターを使って底面に風を送り込んだりすることで、湿気を逃がしましょう。
  • 上級睡眠改善インストラクター 安達直美さんコメント
  • マットレスを床にじか置きすると、ほこりがたまりやすくなるので注意しましょう。特にフローリングの部屋では、ほこりが舞い上がりやすいため、マットレスを高い位置に置くのがいいでしょう。

実際に試さずにオンラインで買う場合の選び方

実際に試し寝をせずにオンラインで購入する場合は、以下の点に注意しましょう。
マットレスをオンラインで購入する際のチェック項目
項目 チェック内容
素材 スプリング、ウレタン、ファイバーなど、それぞれの素材の特徴を理解する
硬さ 柔らかめ、硬めなど、自分の体格や好みに合った硬さを選ぶ。悩んだら少し硬めを選ぶのが良い
サイズ 寝返りを打てる広さを確保する。両手を広げて少し余裕があるサイズ
厚さ ベッドフレームを使う場合は、フレームの高さも考慮する
通気性 湿気がこもりにくい素材や構造かどうかを確認
耐久性 素材の耐久性やメーカーの保証内容を確認
お手入れ方法 カバーの洗濯可否や、本体のお手入れ方法を確認

また近年は、実店舗ではなくオンラインショップで購入する人が増えています。しかしオンライン購入で特に気になるのが「実際に寝てみないとわからない」という点でしょう。
この不安を解消してくれるのが「返金保証制度」です。一定期間、実際にマットレスを使用してみて、合わなかった場合は返金してもらえる制度を導入しているメーカーもあります。
新しい寝具に慣れるまでには時間がかかります。一定期間試せることは、購入前に寝心地を確かめられないオンライン購入において大きなメリットといえるでしょう。

高機能のマットレスは高額になる場合もある

高機能のマットレスの商品は、どうしても価格が高めになる傾向があります。しかし長期的な視点で考えるとコストパフォーマンスが高いケースも多いでしょう。

低価格の商品のなかには耐久性が低いものもあり、なかには数年で使用に耐えられなくなってしまう商品も。
安い商品は初期費用を抑えられるメリットがありますが、頻繁な買い替えが必要となるため、長期的には予想以上にコストがかさむ可能性もあります。

一方、高機能のマットレスは初期投資は高くなりますが、耐久性に優れているものが多く、長期間使用できるのが特徴です。高い体圧分散性と、優れたフィット感も長続きするため、いつまでも高い満足感を得られる傾向にあります。

そのため、一度の出費は大きくても、長い目で見ると買い替えの頻度は少なくなり、結果的にコスパがいいということもあるでしょう。
マットレスの素材別の耐久性を比較
素材 耐久性 主なポイント
スプリング(ポケットコイル) コイルの密度や素材によって異なるが、メンテナンス次第では10年以上使用できる
スプリング(ボンネルコイル) ポケットコイルよりも耐久性は劣るが、メンテナンス次第で10年以上使い続けることが可能
高反発ファイバー 熱に強いポリエーテルエステル系素材を使用したものは耐久性が高い。ただし、新しい素材なため、耐久年数に関するデータが少ないのが現状
ラテックス 使用環境やメンテナンス方法によって大きく変わる傾向。高温多湿や直射日光を避け、メンテナンスを怠らなければ6〜8年もつといわれている
高反発ウレタン 密度が高いものほど耐久性が高い傾向。5〜7年で劣化するのが一般的
低反発ウレタン 一般的には約3〜5年で劣化するといわれているが、開発が進み、商品によっては5年以上使い続けられるものもある
※耐久年数は商品によって変わるため目安

【専門家が解説】マットレスの選び方に関するよくある質問

寝室のマットレスのイメージ

ここでは、マットレス選びの際によくある質問に対して上級睡眠改善インストラクターである安達直美さんにお答えいただきました。

マットレスや枕などの寝具が睡眠の質に与える影響は?

マットレスや枕などの寝具は、睡眠の質に大きな影響を与えます。適切な寝具を選び、違和感がない状態で眠ることが大事です。 違和感のない寝具とは、体の曲線に自然にフィットし、寝返りをしたときにも違和感がないものを指します。適切なマットレスを選ぶことで、睡眠時の刺激をできるだけ軽減し、睡眠の質の向上をサポートします。 一方、自分に合わない寝具を使用すると、睡眠の質が低下し、慢性的な疲労や体の痛みにつながる可能性も。個人の体型や寝姿勢、体質、好み、睡眠習慣を考慮して、寝具を選ぶことが重要です。

マットレスと敷布団の違いは?

近年、日本人の体型は欧米化が進み、凹凸がはっきりとしてきています。そのため敷布団で寝ると体にフィットしないことも。 特に、畳の上に敷布団を敷いて寝る従来の方法では、十分なクッション性が得られないことが多く、腰痛につながる可能性もあります。
マットレスと敷布団の違い
項目 マットレス 敷布団
構造 スプリングやウレタンなどの素材で作られた一体型の寝具 綿や羊毛などを詰めた寝具
硬さと体圧分散性 種類によって硬さが異なり、体圧分散性が高いものが多い 一般的にマットレスより柔らかく、使用とともに圧縮される傾向がある
通気性 構造によって異なるが、一般的に敷布団より通気性が劣る 通気性が高く、湿気を逃がしやすい
収納性 一体型のため収納に場所を取る(折りたためるものもあり) 折りたたんで収納できるため、場所を取らない
耐久性 一般的に耐久性が高く、長期間使用可能 定期的な打ち直しや交換が必要
敷布団で寝ていて腰が痛いと感じる人は、マットレストッパーで体圧分散性をフォローする方法もあります。敷布団の上に設置することで、クッション性と体圧分散性の向上が期待できるでしょう。もちろん、従来通り、敷布団の下に薄めのマットレスを引く方法などもあります。

子どもと一緒に寝るならどのマットレスがいい?

添い寝イメージ
理想をいえば、お互いの睡眠を邪魔しないように別々に寝ることが望ましいですが、子どもが小さかったり、狭い日本の住宅事情では難しいかと思います。 強いて言うのであれば、子どもは代謝が良いため、よく寝返りをうち、汗もかきます。一緒に寝る場合は通気性が高く横揺れがしにくいマットレスが良いでしょう。
子どもと一緒にマットレスで寝るためのポイント
ポイント 詳細
適度な硬さと体圧分散性 子どもの軽い体重と大人の体重の両方に対応できる、中程度の硬さのマットレスが良い。
ポケットコイルマットレスは体圧分散性に優れ、かつ横揺れが少ないのでお互いの睡眠を邪魔しにくい
十分な広さ 人数に合わせて、十分な広さのマットレスを。
例えば、大人2人と子ども2人なら240cm幅、5人家族なら280cm幅程度が目安
通気性が良くお手入れがしやすいもの 子どもは大人より体温が高いため、ファイバーマットレスのような通気性が良く洗濯可能なマットレスが望ましい
横揺れがしにくい ポケットコイルやウレタン、ファイバーのマットレスはきしみ音や横揺れがしにくいので、複数人で寝るのに適している

一人暮らし用なら、どのマットレスがいい?

一人暮らし用のマットレスは、部屋の広さや好みの寝心地に合わせて選ぶのがポイントです。

サイズとしては、一人用なら一般的には省スペースなシングルサイズ、部屋の広さにゆとりがあればセミダブルサイズが良いでしょう。

ベッド用なのか敷布団の上に敷くのかによって、選ぶマットレスの種類は変わります。
敷布団用ならファイバーやウレタンなどがあります。ベッド用ならスプリングタイプが主流ではありますが、昨今、ファイバーやウレタンなども人気があります。

ただ、スプリングやウレタンは洗えないため、衛生面が気になる人は丸洗いできて通気性が良いファイバー素材など検討するといいでしょう。

寝心地については、高反発のマットレスは寝返りしやすく、体の負担をほどよく分散してくれます。
一方、低反発のマットレスは包み込むような柔らかさが特徴です。しかし、沈み込みにより寝返りがしづらく体を動かすのに負担がかかりやすいため、腰痛がある人は避けた方がいいでしょう。

厚さがあるマットレスの方が寝心地はいい?

厚みのあるマットレスは、一般的に底付き感が少なく、体圧分散性に優れています。

特に10cm以上の厚さがあると、床に直接敷いても使用できるとされています。

また、体重が重い人や腰痛がある人は、さらに厚めの15cm以上がおすすめです。

しかし、マットレスは厚ければ厚いほど良いというわけではなく、重要なのはマットレスの硬さや体圧分散性、フィット感です。

厚みがあっても硬すぎたり、体圧分散性が低いと体に負担がかかることもあります。

また、厚いマットレスは重くなりがちで、通気性が低下し湿気がこもりやすくなるため、定期的なお手入れが必要です。
したがって、寝心地を重視する場合でも、厚さだけでなく反発力や通気性などを総合的に考慮して選ぶことが大切です。

布団の上にマットレストッパーを敷くのはあり?

敷布団の上にマットレストッパーを敷くのは、手軽にできる寝心地の改善方法です。

特に和室で敷布団一枚で寝ているという人は、どうしても底付き感があり、腰など体に負担を感じてしまうものです。

マットレストッパーをプラスすることで、敷布団が硬すぎたり経年劣化で薄くなったりした場合に、やわらかさやサポート力を補助できますし、敷布団がへたっていたりやわらかすぎたりする場合には、適度な硬さを得られます。

ただし、トッパーの厚さや素材によっては通気性が低下し、湿気がこもりやすくなることも。たとえばウレタン素材は通気性が低いため、トッパーとして採用するなら頻繁に立てて風を通すなどのメンテナンスが必要でしょう。

敷布団と組み合わせるなら、トッパーは湿気がこもらない素材を選ぶことが大切です。通気性が高いトッパー素材としては、ファイバーがあげられます。

また、厚すぎると敷布団の上に置いた際に不安定になる場合もあるので、厚さは5〜7cmを目安にするといいでしょう。

電動ベッドに合うマットレスはある?

電動ベッドのイメージ
電動ベッドに適したマットレスは、柔軟性があり、ベッドの動きに追従できるものが良いでしょう。ただし、電動ベッドでの使用が推奨されていないタイプもあるので、事前に確認することが大切です。

電動ベッドのためのマットレス選びの注意点

  • 個人の健康状態や身体的特徴に合わせて選ぶことが大切
  • 医療・介護の専門家にも相談してみる
  • 電動ベッドとマットレスの相性を確認し、適切なサイズと厚さを選ぼう

耐久性があるマットレスの種類や素材はどれ?

マットレスの耐久性は、素材や構造によって大きく異なります。長く愛用するためには、素材の特徴を理解することが大切です。

重要なのは、それぞれの素材に合わせた適切なメンテナンス。定期的に風を通したり、掃除機をかけたりといったお手入れを心がけましょう。
マットレスの種類別の耐久年数表
マットレスの種類 耐久年数 おもな特徴
スプリングマットレス
(特にポケットコイル)
約10〜20年 高品質なものは長期間使用可能
ラテックスマットレス 約5〜10年 天然素材で耐久性が高い
ウレタンマットレス 約5〜10年 密度が高いほど耐久性が増すがへたりやすい面も
高反発ファイバーマットレス 約5〜10年 洗濯可能で通気性がよく、適切なケアにより長持ちする
※耐久年数は商品によって変わるため目安

マットレスの耐久性の注意点

  • 実際の耐久性は使用状況や手入れ方法によって変わる
  • 定期的な回転や通気、適切な洗濯などのケアで寿命が延びる
  • 5〜10年を目安に買い替えを検討するのが一般的

マットレスの国内製と海外製の違いは何か?

マットレスの国内製と海外製には、一般的にサイズや素材に違いがあります。国内製マットレスと海外製マットレスの比較を表にまとめました。
国内製マットレスと海外製マットレス比較表
特徴 国内製マットレス 海外製マットレス
品質管理 日本の厳格な品質基準に基づいて製造 製造国によって品質基準が異なる場合あり
サイズ 日本の住宅事情に合わせたサイズが豊富 国際規格のサイズが中心、日本の規格と異なる場合あり
硬さ 日本人の体格や好みに合わせた硬さ設定 製造国の一般的な好みに合わせた硬さ設定の場合あり
素材 日本の気候に適した素材選びが多い 製造国の気候に合わせた素材が使用される場合あり
アフターサービス 日本国内でのサポートが充実 ブランドによってはサポート体制が限定的な場合あり
価格 一般的に海外製より高価な傾向 製造コストの違いから、比較的安価な商品が多い
デザイン 日本の住環境や好みに合わせたデザイン 国際的なトレンドを取り入れたデザインが多い
※一般的な傾向であり、すべての商品に当てはまるわけではないので注意。品質の良い海外商品も多く存在するため、自分のニーズに合っているかどうかで判断することが大切

まとめ. 目的や環境に合ったマットレスを選ぼう

マットレスは自分の体格や体質、寝姿勢、好み、生活スタイルを考慮して選ぶことが重要です。
今回はあなたがマットレスを選ぶためのヒントとなる情報をまとめて紹介しました。
良質な睡眠は健康的な生活の基盤となります。自分に合ったマットレスを見つけることで、毎日の睡眠の質を高め、心身ともに健康な生活を送りましょう。
リフルマットレス 700
眠る身体をアシストするマットレス
【スタンダードモデル】 厚さ7cm
  • 6ゾーン
    6ゾーン
  • 3層構造 寝返りアシスト
    3層構造
    寝返りアシスト
  • リバーシブル カバー
    リバーシブル カバー
  • 高反発
  • 通気性
  • 洗える
  • 軽量
リフルマットレス SL550

NEW

眠る身体をアシストする1層構造
【エントリーモデル】 厚さ5.5cm
  • 6ゾーン
    6ゾーン
  • 1層構造 寝返りアシスト
    1層構造
    寝返りアシスト
  • リバーシブル カバー
    リバーシブル カバー
  • 高反発
  • 通気性
  • 洗える
  • 軽量