高校野球のバットが変わる?!

高校野球で使用するバットについて、基準が変更になることをご存知でしょうか?新基準の適用は2024年春のセンバツ高校野球大会からです。今の高校1年生が来年2年生になって、センバツ高校野球大会に出場する時には、新基準バットになっているのです。

変更点は大きく2点、①太さ と②打球部の金属の厚み です。

  1. ① 打球部の太さが、直径67mm未満→64mm未満になります。バットが細くなるのです。
  2. ② 打球部の金属自体の厚みが、約3mm→約4mmになります。厚みが増すことで、反発力が下がります。

つまり、いわゆる「飛ばないバット」になるのです。「飛ばないバット」にすることで、ピッチャーライナーによる怪我の防止や、打高投低のバランスを修正することなどを目的としています。

メーカーたるもの基準変更があっても、それに応じたバットを開発するのが使命です。実はミズノは他社に先駆け、2022年11月に新基準適用のバットを発売しています。とにかく早くユーザーの皆さまに手に取っていただきたく、急ピッチで開発を進めました。そしてその後、2023年2月に発売、6月にもラインナップを大幅追加予定です。

今回は金属バットの開発担当者である菊地に、新基準バットのこだわりや苦労した点について、話を聞いてみました。

2012年に入社して以来、バット開発に携わること11年。ミズノのバット製造を担っているミズノテクニクス養老工場での勤務経験もあり、今は新開発拠点のミズノエンジンで更なるバット開発にいそしんでいます。

2022年11月に第一弾として発売したのが、新基準の「Vコング02」。野球をしていた方はご存知かもしれませんが、「Vコング02」シリーズは、ミズノの金属バットとして20年近く続いている人気のシリーズです。この名前を継承しながらの新基準バットを開発。特ににこだわったそうです。

「Vコング02」シリーズの音の特長は、どちらかというと低め。「カキーン!」というより、「バシッ!」という感じ。今回の基準変更により打球部の金属部分が肉厚になりました。新基準バットの試作前は、肉厚になったことで低音になるのではないか、と予想していたそうです。しかし、実際には現行モデルよりもかなり高音に。「Vコング02」らしからぬ音…。このままでは愛用して下さっているユーザーの皆さんのイメージを崩しかねないと、あえて音を低くする工程を一つ加えて完成させたそうです。

上:新基準の「Vコング02」、下:従来基準の「Vコング02」

一番苦労した点を聞くと、とにかく発売までのスケジュールがタイトだったこと。新基準が正式に発表されたのは、2022年2月。そして第一弾の発売は2022年11月。非常にタイトなスケジュールでの開発、試作、製品化でした。「とにかく少しでも早くお客様に手に取ってもらいたい」という思いで開発に努めたそうです。

今まではどうやって飛ばすか、を軸として商品開発を進めてきたので、真逆な考え方を検討することも難しさの一つでした。そして、反発力で差を出せない分、どのようにミズノの強みを出すのか、も大きな課題の一つでした。
ただ、幸いミズノでは、元々アメリカで低反発バットを展開しているので、それを基準にしながら開発を進めることができたそうです!

このようにして新基準バット第一弾の「Vコング02」を発売しましたが、その後もラインナップを拡充。ユーザーの皆さんに幅広く使っていただけるよう、「振りバランス」「打感」「音」「長さ」「重さ」をそれぞれ自分の好みで選べるようにさまざまな種類を準備しています!

今までの金属バットは、半期に一モデル出すか出さないか、くらいのペースで開発を進めていたそうですが、今回は一気にフルラインナップを追加!!一年間ずっと今回の金属バットの開発に捧げ、大忙しだったようです。
ミズノの新基準バットが、皆さんそれぞれの好みに合いますように。お店で見つけたら、ぜひいろいろなタイプを振ってみて、自分に合う一本を探してみてくださいね!

新基準金属バット GVIシリーズ