ミズノが考える未来の「モビリティ」とは?開発者に迫る!

「Japan Mobility Show 2025」にてミズノが出展

「Japan Mobility Show 2025」にてミズノが出展

2025年10月30日から11月9日まで東京ビッグサイトで開催された「Japan Mobility Show 2025」(以下、JMS)に、ミズノが出展しました。「JMS」は、大手自動車メーカーの最新モデルや最新技術のお披露目の場であり、未来のモビリティなどあらゆる乗り物の可能性を体感できるイベントです。モビリティとは無縁に思えるミズノが、突然出展した理由は何か、何を展示したのか、開発者に聞きました!

CFRP板バネフットギアコンセプトモデル「MOBILARIA β(モビラリア ベータ)」

CFRP板バネフットギアコンセプトモデル「MOBILARIA β(モビラリア ベータ)」

開発者の森山にすべてを教えてもらいました!

Q:なぜ、JMSに出展したのですか?

A:ミズノの研究開発チームは、カーデザイナーの山本卓身氏との共創により「履物」を「モビリティ(移動手段)」と捉え、移動を楽しむモビリティを通じて、新たな価値の創造を提案したいと考え、出展を決めました。

Q:何を出展しましたか?

A:出展したのは、CFRP板バネフットギアコンセプトモデル「MOBILARIA β(モビラリア ベータ)」です。この商品は、スポーツ用途ではなく、日常生活における新たな移動手段として開発されたフットギア(履く乗り物)です。

Q:出展した「MOBILARIA β」はどんな商品ですか?

A:競技用義足の板バネ研究開発で培ったカーボン技術を採用し、ギアと脚が一体となり、下肢の運動メカニズムを変化させることで、より効率的な走行を実現することを目指しています。板バネが着地の衝撃を吸収し、板バネがたわんでエネルギーを蓄え、それを推進力として使うことで、自分の脚が本来担っていた役割を一部代替してくれています。

Q:非常に不安定そうな形をしていますが、実際はいかがでしょうか?

A:かかと部分がないので、とても不安定そうに見えますが、ぴたっと止まることも可能ですし、「JMS」で多くの方に体験していただきましたが、皆さん初めてでもすぐに着用し、立ったり、歩いたり、軽く走ることができました。

Q:ちなみに発売予定はありますか?

A:コンセプトモデルなので、発売は未定です。今回の出展で、多くの皆さまからの反応を得て、さらなる改良を加え、お届けできるように頑張ります!

MOBILARIA βの開発シーン(2025年夏)

MOBILARIA βの開発シーン(2025年夏)

「モビリティ」の開発はミズノにとって初めての試みであり、未知の挑戦でした。

CFRP板バネフットギアコンセプトモデル「MOBILARIA β」の開発が始まったのは、約2年半前の2023年です。ミズノの研究開発チームでは、人のパワーを増強させる研究、移動能力を拡張する研究、錯覚を利用したフィードバックを行う研究などを行っています。移動能力を拡張する研究開発テーマの一環として、「MOBILARIA β」が誕生しました。

人間拡張技術とは、例えばスキーの板や陸上スパイクのアウトソールにあるピンなど、今では当たり前に皆さんが使用しているモノですが、これらも人間拡張技術の一種です。雪の上では歩きにくかったですが、スキーの板ができたことで移動しやすくなり、陸上スパイクのアウトソールにピンを付けることで、はだしよりも速く走れるようになりました。ミズノの研究開発チームは、これからの未来に向けた人間拡張技術を社会に実装するために、より速く、より強く、より高くといったパフォーマンス向上を可能にする領域にチャレンジしています。また、自らの体を使った未来のモビリティ(移動手段)の開発にも取り組んでいます。

カーデザイナーの山本卓身氏は、「履物はモビリティの原点」と捉え、開発においてコンセプトの立案からデザインまで、共に新しい価値を創造するため取り組んできました。

カーデザイナーの山本卓身氏

カーデザイナーの山本卓身氏

開発チームと山本氏が注目したのは、競技用義足。この競技用義足を身につけたらどうなるのか。
まずは競技用義足で使われているCFRP板バネの形状について検討を繰り返しました。どのような形状にすれば、より多くの人が利用できるモビリティになるのか。競技用義足のままでいいのか、Xのような形状のほうがいいのか、何パターンもサンプルを製作して試しました。

ミズノには、イノベーションセンターという施設があります。この施設は、研究開発に必要な「はかる」「つくる」「ためす」ための特殊設備を一カ所に集結させています。この設備を駆使し、今までより短納期でのサンプルを制作し、出来上がったサンプルを走路で試すことを繰り返して、完成へと近づいていきました。

イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE」

イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE」

開発を進めていく中で、発表のタイミングを模索していました。その中で照準を定めたのが「JMS」でした。発表のタイミングを決めることで、さらに開発スピードを加速させ、夏ごろにはイノベーションセンターの走路で何度も試走を繰り返していました。ようやく完成したのは9月ごろです。そして、ミズノが考える未来のモビリティ「MOBILARIA β」が完成しました。

開発担当者 森山

開発担当者 森山

森山は最後に話します。
「移動を『楽しいチャレンジ』に変えたいと思い、今回「MOBILARIA β」を開発しました。
私たちグローバル研究開発部は、全ての人が自らの体を自由自在に操り、今までできなかったことができるようになることで、誰もが前向きに「やりたいこと、やろう!」と思える活気ある社会の実現に向けて人間拡張技術の研究開発に取り組んでいます。
 しかし近年はAIや自動化などの進化により、生活の中で体を動かすことは減り始めており、ミズノが目指す未来と社会環境にギャップを感じていました。
 どうすれば「体を動かすことを楽しい」と思ってもらえるのかと考えていた時に今回のプロジェクトの話が届きました。「移動」は人が日常的に行う動作です。この体験を『楽しいチャレンジ』と思ってもらうことができれば、外出の機会が増え、私の感じていたギャップが少しでも埋められると思い、今回のモビリティを提案しました。「JMS」では多くの反響をいただき「どんな移動ができるのか?」と興味を持ってもらうことは成功したのではないかと感じています。
今回発表した 「MOBILARIA β」 はコンセプトモデルですが技術を突き詰め、ラストワンマイル(移動範囲)を広げる技術にすることで、さらにたくさんの「やりたいこと、やろう!」につなげていきたいです。
 また、「MOBILARIA β」だけにとどまることはなく、自分の体の使う楽しさを伝えることができるプロダクトやサービスの開発を今後も続けていき、さらに「これ何?!」と、皆さんがワオ!と思うような「ええもん」の研究開発をしていきます。」

関連ぺージ

より楽な移動を目指すCFRP板バネフットギアの開発|ミズノ株式会社