メンタルトレーニング:~どうしたら集中できるようになる?~

メンタルトレーニングイメージ

<質問>
よく、試合中に「集中!集中!」とか、「お前は集中力が足りない」とか言われます。自分では集中してるつもりなんですが・・・
どうしたら「集中」できるようになるんでしょうか?

<回答>
こんにちは、スポーツメンタルコーチの藤代圭一です。 ご質問ありがとうございます!
スポーツでも勉強でも、集中力が高まればのぞむ結果を手に入れやすい。
これは、多くの人が実感していることかもしれません。

けれど、どうすれば「集中」することができるのでしょう。
また、 質問者さんは「集中している」つもりなのに、まわりからは「集中していない」ように見え、 「集中しろ!」と怒られてしまう。

どうして、このようなことが起きてしまうのでしょう。

まず、確認したいことは、「どんな状態だと、集中しているというのか?」といった問いの答えを、チームに関わるメンバーと伝え合い、共通認識をつくることが必要です。 この答えにズレがあると、「集中しています!」と伝えても、ずっと怒られ続けてしまうでしょう。

まず確認すべきは「どんな状態だと、集中しているというのか?」です。

では、今度は客観的に「この人は集中していないな」と感じるのはどんな時かをイメージしてみましょう。

例えば、授業中に先生の話を聞かず、ぼーっと窓の外を眺めている生徒がいたらどうでしょう?
サッカーの試合中に、マークをするべき相手ではなく、ボールの行く末ばかりを追いかけていたらどうでしょう?
どちらも「お前は集中力が足りない」と怒るかもしれません。

この2つには、
「散漫な動きが気になる」
「やるべきことをしていない」
「大事な場面である」
といった要素があります。こうしたときに「集中力が足りない」と注意し、試合中であれば、「集中しよう!」と声を掛け合うのかもしれません。

集中4つの段階

「集中」には4つの段階があります。
consciousness:ぼんやりと意識を向けている
attention    :注意を向けている
concentration :集中している
focus      :没頭している

練習中や試合中にやるべきことに注意を向けていないと外からは 「あいつは集中していない」と映ります。
ですので、質問者さんにとって必要な問いかけは 「今、すべきことは何か?」
そして、ぼんやりと意識を向けているconsciousnessの段階から、注意を向けているattentionの段階にステップアップする。

「今、すべきことは何だろう?」
と自分自身に問いかけ、その答えに注意を向け、行動に移すことによって、気づいたら「集中していた」という段階に移行することができます。

再集中という考え方

この際に忘れてはいけないのは、「僕たちの集中力はそう長く続かない」ということです。

集中は様々ものから妨害を受けるのです。
例えば、「いまから集中して勉強しよう!」と思い立ったのも束の間、メールの通知が目に入った途端にスマートフォンに意識が向き、気がついたら長い時間が経過していた!そんなことはありませんか? 僕たちの集中力は様々なことから妨害されます。

スポーツの試合中であれば、急に雨が降ってくるなどの天候や、対戦相手のパフォーマンスや態度、観客から聞こえてくる声やレフェリーのジャッジによって、今やるべきことを見失ってしまうかもしれません。つまり、集中を妨害されてしまうわけです。

例えば、バスケットボールではフリースローの場面では、観客席からブーイングが聞こえます。
彼らに「静かにして下さい!」と伝えても、その声は止まることはないでしょう。
ブーイングの中でも、「自分がやるべきこと」「自分がコントロールできること」に再び意識を向ける。 動作に意識を向けて、集中状態をつくることが必要です。

また、こうした集中を妨害するのは外側からだけではありません。自分の内側から
「さっきは決められたけど、今度は大丈夫だろうか?」
「これを外したらどうしよう?」
「自分のせいで負けたくない」
といった過去との比較や、未来への不安といった心の声が集中を妨害するのです。

ここで重要なことは、
「自分でコントロールできることは何か?」
「自分でコントロールできないことは何か?」

この2つの問いかけの答えを整理し、自分でコントロールできることにエネルギーを注ぐことです。

いかがでしたでしょうか?
集中しているつもりなのに、「集中しろ!」と言われてしまうのであれば、まずは「集中の状態」についてお互いの共通認識をつくりましょう。

そして、より良い集中状態に入るために、「コントロールできること」を整理し、4つの段階をよりステップアップできるよう、まずは「いまやるべきことは何だろう?」と自分自身に問いかけ、その答えを行動に移していきましょう。

●ポイント

集中の状態の共通認識を持つ
集中を妨害されてしまう要素をイメージする
コントロールできることとできないことを整理する
いま、すべきことは何か?と問いかける
すべきことに注意を向け、集中へとつなげる