ええもんつくる”ヒト”
Vol.14 選手のパフォーマンスをユニフォームで支える

「ええもん」で、今日よりも、ちょっといい明日を。
100年以上にわたって受け継がれてきた「ええもんつくんなはれや」というミズノのDNA。“ええもん"をつくるヒトたちの仕事に対する向き合い方やこだわり、モノづくりに対する思いとともにお届けします。

現在ミズノでスキージャンプやスピードスケートなどの冬季競技やプロ野球のユニフォームを担当している駒田は、陸上の強豪校で長距離走を専門としていた学生時代からウエアの色やデザインにこだわっていたと言います。

「『この色を着たいな』とか『こういうデザインのウエアがいいな』といったように、まずは見た目から入って、それから素材や着やすさで選んでいました。もともと服が好きだったというのが大きかったかもしれません」

「服が好き」という思いから始まった縫製職としての道のり、それは選手をベストなパフォーマンスにつなげるユニフォーム作りの道のりでもありました。

学生時代から服が好きでウエアのデザインにもこだわりがあった駒田にとって、アパレルとスポーツに関わる縫製職は「やりたいこと」に近づける職業でした。「スポーツに関わる仕事に就きたい」と漠然と思っていた中、たまたま見つけたミズノの縫製職。

「当たり前に着ていたユニフォームを自分の手で一から作ることへの興味と、『スポーツ選手のパフォーマンスを上げる手助けができるものを作りたい』という思いが入社への後押しになりました」

責任重大な上、短時間で修理を求められることは日常茶飯事。特に冬季競技では、競技のルールも細かく変わっていくなか、ユニフォームを一から作り直すこともあると言います。それでも駒田が縫製を続けているのは、選手の活躍する姿を見られるのがうれしいから。

「担当している選手が試合に出ているのをテレビで見て、『これは私が縫ったユニフォームかな? 頑張ってほしいな』と思います。そして、選手が活躍したときは本当にうれしいです」

現在担当しているユニフォームは選手の数だけあり、ひとつも同じものはありません。選手一人一人の体型やプレーの癖などが反映されたユニフォームのディテールは、駒田の頭の中でデータとして蓄積され、常にアップデートをしていかなければならないそう。

「選手のオーダーに合ったものを間違いなく作るのは当然のことですが、例えば冬季競技では練習をするたびに現場で要望を聞いて、次の日の練習や試合に間に合うように修理や調整を行っています。サイズを縮めたり大きくしたり、破けたところを取り換えたり当て布を付けたり。選手と常にコミュニケーションを取りながらブラッシュアップしていきます」

それらの作業の中で特に大切にしているのは「パーツを縫い終わったら必ず見直すこと」。ミスを防ぐだけでなく、ミスがあっても早く気が付き、時間の短縮になるからだと言います。

「全部縫ってから見直すのではなく、ひとつのパーツを縫い終わったときに必ず見直すことを先輩に教えていただきました。時には自分ひとりで修理に行くこともありますが、そこで不備があるものを選手にお渡しするわけにはいかないので、パーツごとの見直しは今も絶対に怠らないようにしています」

日々選手たちのユニフォームに向き合う駒田が考える「ええもん」とは、「身に着けたときにぴったり合うもの」。

「ユニフォームというのは、かつての私みたいに、色やデザインが好きで気分が上がったりするものではないかなと思うんです。だからこそ、着たときにぴったり合うことが大前提であって。選手にぴったり合うユニフォームを着ていただいて、ベストなパフォーマンスにつなげることが私の役割だと考えています」

では、ぴったり合うユニフォームを作るために心がけていることは──? 「一番大事にしているのは、選手の話を聞くこと。『こうしたほうがいいんじゃないかな?』と思っても、着るのも競技するのも選手ですから。練習や試合の合間に選手から出てきた要望には必ず応えるようにしていますし、求められたものを正確に作ることで、少しでも選手に気分を高めていただきたいです」

駒田が今目標にしているのは、「冬季競技の縫製といえばこの人!」「野球ユニフォームの縫製といえばこの人!」と言われる存在になることだそう。

「縫製を教えてくださった先輩社員は、どこへ行っても選手たちから『あの人は今何をされているの?』と名前が挙がるような方なんです。私はまだまだ学ぶことが多い身ではありますが、これからも現場でひたむきに修理と向き合い、先輩のように選手に信頼される存在になりたいと思っています」

そのために今、必要なのは「もっと万能に対応できるようになること」だと考える駒田。

「パターンのこと、生地のこと、競技のこと、選手のこと……学ぶべきことは山のようにありますから、周りにたくさんいるプロフェッショナルに教えていただきながら、一つひとつ自分のものにしていきたい。選手のどんな要望にも万能に対応できるようになることが今の目標です」

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